
2024年、新垣結衣さんは映画『違国日記』で主演を務め、アニメ映画『きみの色』では声の出演も。その前年の映画『正欲』では、映画賞で人生初となる助演女優賞を受けました。愛称は「ガッキー」。デビューから20年以上たったいまも、2009年から続くお茶のCMで毎年新しい顔を見せています。ドラマのヒロインから大河ドラマ、映画の主演、アニメの声まで、役の幅も年ごとに広がってきました。
そんな新垣さんの出発点は、沖縄の村の中学生が応募した雑誌のオーディションでした。歌手グループに憧れた少女が、どうやって国民的な女優になったのか。出演作と役名をそえて、順にたどります。
沖縄の中学生がつかんだ『ニコラ』のグランプリ
新垣結衣さんは1988年6月11日、沖縄県那覇市で生まれました。その後、島尻郡大里村(いまの南城市)に移り住んでいます。
小学生のころの夢は、同じ沖縄出身のSPEEDに入ること。2013年に出演した『はなまるマーケット』では、沖縄アクターズスクールの試験を受けたものの不合格だった、という思い出を話しています。いまも好きなアーティストに、SPEEDの名前をあげています。
大きな転機は2001年です。村立中学校に通っていた新垣さんは、女子小中学生向けのファッション雑誌『ニコラ』のオーディションに応募し、グランプリを獲得しました。ここから専属モデル、いわゆるニコモとしての日々が始まります。2005年春に卒業するまでに、表紙に登場した回数は当時最多の15回。沖縄の村から、全国の女の子が手に取る雑誌の顔になりました。
グラビアと小さな役で重ねた下積み
『ニコラ』の卒業が近づいた2004年ごろから、新垣さんはグラビアや女優の仕事にも進みます。少年誌のグラビアを中心に活動し、2006年には初めての写真集『ちゅら☆ちゅら』を出しました。
ドラマデビューは2005年の『Sh15uya』で、役はエマ。同じ年には『ドラゴン桜』で香坂よしのを演じ、10月からはバラエティ番組『落下女』にレギュラー出演しています。2006年1月のドラマスペシャル『トゥルーラブ』で麻生菜摘を演じ、ドラマで初めて主演を務めました。
同じ2006年には、平成18年度春の火災予防運動のポスターにも起用されました。この年は、日本テレビの土曜9時のドラマに2クール続けて出演しています。『ギャルサー』のナギサと、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』の梅村ひかりです。声の仕事にも挑戦し、映画『超劇場版ケロロ軍曹』のミララ、テレビアニメ『デジモンセイバーズ』の藤枝淑乃を担当しました。2007年3月には日出高等学校を卒業。同級生には多部未華子さんがいます。
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ポッキーのCMでブレイクしたガッキー
新垣結衣さんの名前を一気に広めたのが、2006年から2008年まで出演した江崎グリコ「ポッキー」のCMです。このCMをきっかけに、新垣さんはブレイクを果たしました。
2007年は、仕事の幅が大きく広がった年です。ドラマ『パパとムスメの7日間』で川原小梅を演じ、8月公開の『恋するマドリ』で映画初主演、9月公開の『ワルボロ』にも出演しました。11月公開の『恋空』では田原美嘉を演じています。
歌手としてのデビューも、この年でした。『恋するマドリ』の主題歌「メモリーズ」で歌手デビューし、11月に『COUNT DOWN TV』で歌番組に初出演。12月21日には、デビューアルバム『そら』の発売を記念したイベントを日本武道館で開いています。11月に始めた公式ブログには、開設当初から1記事に1000件を超えるコメントが寄せられ、6日後にはアメーバブログのアクセスランキングで2位になりました。2008年3月の東京ガールズコレクションでは「BEST GIRL OF 2007」の第1回グランプリにも選ばれ、モデルとしても大きな賞を手にしています。
コード・ブルーの白石恵とリーガル・ハイの黛真知子
2008年、フジテレビの『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』で、救命医を目指す白石恵を演じます。この役は2010年の2nd season、2017年の3rd season、2018年の劇場版まで続き、新垣さんの代表作のひとつになりました。
2010年の映画『ハナミズキ』では平沢紗枝を演じ、劇中に登場する絵本『The Three Little Pigs(3匹の子ぶた)』は新垣さんの自筆で、同じ年に一般発売もされています。2011年の『全開ガール』の鮎川若葉で、連続ドラマに初主演しました。同じ年の年末にはドラマ『らんま1/2』で天道あかねを、2012年の映画『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』では中原香織を演じています。
2012年からは『リーガル・ハイ』で、まじめな新人弁護士の黛真知子を演じます。シリーズは2014年のスペシャルまで続きました。2012年末には『第54回日本レコード大賞』で、初めて司会も務めています。その後も『空飛ぶ広報室』の稲葉リカ、初めて母親役を演じた映画『トワイライト ささらさや』のサヤ、ドラマ『掟上今日子の備忘録』の掟上今日子と、主演作が続いていきました。
逃げ恥の森山みくりで見せたダンス
2016年10月、TBSのドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で森山みくりを演じます。主題歌の場面で見せたダンスも大きな話題になりました。じつは新垣さん、ダンスは習ったことがなく、どちらかといえば苦手だと話しています。ポッキーのCMのダンスと同じく、苦手と言いながらも多くの人の記憶に残る場面になりました。
2017年にはNHKのドラマに初出演します。『絆〜走れ奇跡の子馬〜』で松下将子を演じました。同じ年の映画『ミックス。』では瑛太さんとダブル主演で富田多満子を、2018年の日本テレビのドラマ『獣になれない私たち』では松田龍平さんとダブル主演で深海晶を演じています。
2020年には日本テレビの『親バカ青春白書』で小比賀幸子を演じ、2021年1月には『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!』で、ふたたびみくりとして画面に戻ってきました。この間、2017年には『コード・ブルー』の3rd season、2018年には劇場版で白石恵も演じていて、長く続く役を大切にしてきたことが分かります。
フリーランスになった新垣結衣さんの新しい役
2021年5月、新垣さんは長く所属した事務所との契約を、マネジメントの一部を残して終え、フリーランスとして自分のスタイルで活動していくことを発表しました。
2022年はNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で八重を演じ、大河ドラマに初めて出演します。2023年にはWOWOWのドラマ『フェンス』に城間薫役で特別出演し、フジテレビの『風間公親-教場0-』では隼田聖子を演じました。2021年6月には『ドラゴン桜』第2シリーズの最終話に香坂よしのとして登場し、2022年の映画『GHOSTBOOK おばけずかん』では葉山瑤子を演じるなど、懐かしい役との再会や子ども向けの作品にも出ています。
そして2023年11月公開の映画『正欲』です。朝井リョウさんの小説を岸善幸監督が映画にした作品で、稲垣吾郎さん、磯村勇斗さんらと共演し、新垣さんは桐生夏月を演じました。第36回東京国際映画祭のコンペティション部門にも出品されています。この役で第33回日本映画批評家大賞の助演女優賞を受賞し、2024年5月の授賞式に登壇しています。映画賞で助演女優賞を受けるのは、新垣さんにとって人生で初めてのことでした。
新垣結衣さんのいま 違国日記ときみの色と十六茶
2024年6月公開の映画『違国日記』では主演を務めました。ヤマシタトモコさんの人気漫画を実写にした作品で、瀬田なつき監督が脚本も手がけました。新垣さんが演じたのは、人見知りで不器用な35歳の小説家・高代槙生。亡くなった姉の娘で15歳の朝(早瀬憩さん)を勢いで引き取り、2人で暮らし始める役です。夏帆さん、瀬戸康史さんらも出演し、公開直後の舞台あいさつでは、共演者からのサプライズの手紙に涙を見せています。
8月公開の山田尚子監督のアニメ映画『きみの色』では、3人の主人公を導くシスター日吉子の声を担当しました。山田監督はだめでもともとのつもりで新垣さんに声のオファーを出したと伝えられています。
CMでは、2009年から出演するアサヒ飲料「十六茶」が続いています。2025年2月に始まった「16チャージ!交差点」編では、anoさんが歌う懐かしい曲の替え歌が流れ、7月からの「16チャージ!野球場」編は、その替え歌シリーズの第2弾。暑い日の野球観戦で十六茶を飲む姿が映されています。2012年から続くコーセー「雪肌精」をはじめ、長く同じブランドの顔を務めているのも新垣さんらしいところです。2025年5月からは明治の「生のとき」のCMにも出演し、任天堂のNintendo Switchのソフトの広告でもおなじみです。
インドア派の素顔とこれから
新垣さんは自分を、かなりのインドア派だと言います。1日や2日の休みは寝て終わることが多く、家の片付けをしていたら終わっていた、ということもあるそうです。外出を控える時期が続いたときも、まったく苦痛ではなかったと笑って話していました。飼っているのは、ヒョウモントカゲモドキの「シーちゃん」と、カニヘンダックスフントの「ここちゃん」です。
同じ沖縄出身の比嘉愛未さんとは仲がよく、アウトドア派の比嘉さんに連れられてディズニーランドに出かけたことも。戸田恵梨香さんとは「がっちゃん」「トッティー」と呼び合う仲で、『コード・ブルー』には2人のアドリブから生まれた場面もあるといいます。蓮佛美沙子さんとも仲がよく、ニコモ時代に知り合った虎南有香さんとはいまも大親友だそうです。
フリーになってからの新垣さんは、大河ドラマ、映画の主演、アニメの声と、一つひとつ違う役を選んで演じてきました。ニコラの表紙から20年以上、ふんわりした笑顔の奥で、役ごとに新しい顔を見せてきた人です。次にどんな作品で会えるのか、楽しみに待ちたいと思います。
写真: Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan / CC BY 2.0 (Wikimedia Commonsより)


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