松坂桃李、シンケンレッドから『新聞記者』で最優秀主演男優賞へ 2027年大河で小栗忠順に

松坂桃李 男性芸能人
写真: Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan / CC BY 2.0(Wikimedia Commons)
松坂桃李の写真

松坂桃李さんが2027年の大河ドラマで演じる小栗忠順という人物

2026年の秋、松坂桃李さんは大きな仕事をいくつも抱えています。7月に始まった日曜劇場『VIVANT』の続編では、別班で乃木憂助の相棒を務める黒須駿役として、2023年の前作から続投しています。続編は2クールにわたる長丁場です。そして2027年1月からは、NHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』で主人公の小栗忠順を演じます。大河ドラマへの出演は『軍師官兵衛』『いだてん〜東京オリムピック噺〜』に続いて3度目で、主演は今回が初めてです。

小栗忠順は、勝海舟のライバルとも言われる江戸幕府の幕臣です。日本初の遣米使節としてアメリカに渡り、新しい時代の文明を肌で知った人物ですが、明治政府からは「逆賊」とされ、長く歴史の表に出てきませんでした。脚本は『おかえりモネ』の安達奈緒子さん。2026年2月に鈴木京香さん、上白石萌音さんらの追加キャストが発表されたとき、松坂さんは「興奮と安心が同時に押し寄せ来ております。」とコメントしています。

2025年には日曜劇場『御上先生』で主演男優賞を重ねたばかり。ヒーロー番組の主人公として俳優の道に入った青年が、ここまで来た道のりをたどります。

茅ヶ崎で育った少年と史記に由来する名前

松坂さんは1988年10月17日、神奈川県茅ヶ崎市で生まれました。本名の「桃李」は、司馬遷の『史記』にある「桃李不言下自成蹊(とうりものいわざれども、したおのづからこみちをなす)」という言葉から名づけられています。桃や李(すもも)は何も言わなくても、その花や実をもとめて人が集まり、木の下には自然と道ができる、という意味です。父親には、徳があってだれからも好かれる人になってほしいという思いがあったそうです。

幼いころは珍しい名前がコンプレックスだったものの、芸能活動を始めてからは、すぐに覚えてもらえることなどから名前に感謝するようになったと語っています。

姉と妹にはさまれて育ち、自分が話すより二人の話を聞くことが多かったといいます。周りから聞き上手と言われるのは、その環境のおかげではないかと本人は分析しています。大学で心理学を教えていた父親からは、幼いころに挨拶を大事にするよう言われ、大人になってからその意味が分かるようになったそうです。

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雑誌モデルのグランプリから侍戦隊シンケンジャーのレッドへ

芸能界への入口は、2008年の「チャレンジFBモデル2008オーディション」でした。ここでグランプリを受け、男性ファッション誌『FINEBOYS』の専属モデルとして活動を始めます。同じ時期に、所属事務所トップコートの養成所「Artist★Artist」へ第8期生として入りました。

翌2009年、『侍戦隊シンケンジャー』の志葉丈瑠/シンケンレッド役で俳優デビューします。テレビドラマに初めて出た作品で、いきなり主演を務めたことになります。同じ年には劇場版『侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦』で映画にも初出演し、『仮面ライダーディケイド』の第24話・第25話にも志葉丈瑠として登場しました。

シリーズが終わった2010年には、関西テレビ『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』の滝沢秀樹役、フジテレビ『GOLD』の早乙女洸役、TBS『クローン ベイビー』の菊池ヒロ役と、一般のドラマへ活躍の場を広げていきます。2011年には読売テレビ『名探偵コナン 工藤新一への挑戦状』の第9話で、大阪の高校生探偵・服部平次も演じました。モデルとして誌面に立ってから、わずか1年ほどで主演俳優になり、そこから役の数を一気に増やしていったことになります。

大学に戻るはずだった青年が俳優を選ぶまで

じつは松坂さん、デビューした当初は俳優を長く続けるつもりはなく、『シンケンジャー』が終わったら大学に戻る予定でした。ところが芝居と向き合ううちにその楽しさを知り、休学していた大学を中退して、この道で生きることを決めています。

2011年は飛躍の一年でした。舞台『銀河英雄伝説 第一章 銀河帝国編』のラインハルト役で舞台に初出演し初主演。TBS『怪盗ロワイヤル』の神村零役で連続ドラマに単独で初主演しました。映画『アントキノイノチ』の松井新太郎役、『僕たちは世界を変えることができない。』の本田充役などで、キネマ旬報ベスト・テンの新人男優賞とヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を受けています。

2012年にはNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』で安岡信郎を演じ、映画『ツナグ』の渋谷歩美役で映画に単独初主演。この役で日本映画批評家大賞の主演男優賞を受けました。同じ年の『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』の青柳悠人役、『今日、恋をはじめます』の椿京汰役もあわせて、翌2013年には第36回日本アカデミー賞の新人俳優賞に選ばれています。『ツナグ』で共演した樹木希林さんからは、謙虚に人の世話になりなさいという言葉をもらい、のちのちまで大切にしているそうです。

『孤狼の血』と『新聞記者』で手にした二つの最優秀賞

その後も2014年の大河ドラマ『軍師官兵衛』で黒田長政、2016年の日本テレビ『ゆとりですがなにか』で小学校教師の山路一豊、2017年の連続テレビ小説『わろてんか』でヒロインの夫・北村藤吉と、話題作が続きます。2015年は映画『日本のいちばん長い日』の畑中少佐、『図書館戦争 THE LAST MISSION』の手塚慧など出演作が重なり、2017年の『彼女がその名を知らない鳥たち』の水島真役ではヨコハマ映画祭の助演男優賞を受けました。2016年には映画『パディントン』で、主人公のクマ・パディントンの日本語吹き替えにも初めて挑みました。

大きな転機は2018年の映画『孤狼の血』です。広島を舞台に、暴力団と渡り合うベテラン刑事の下で揉まれる若手刑事・日岡秀一を演じ、第42回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞やブルーリボン賞の助演男優賞を受けました。共演した役所広司さんの表情が、自分の演技の燃料になったと振り返っています。同じ年には映画『娼年』の森中領役という体当たりの役や、TBS『この世界の片隅に』の北條周作役にも取り組みました。

翌2019年の映画『新聞記者』では、葛藤を抱える若手官僚・杉原拓海を演じ、第43回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞。助演と主演の最優秀賞を2年続けて受けたことになります。

『流浪の月』から『御上先生』まで広がり続ける役の幅

舞台にも立ち続けています。2013年の彩の国シェイクスピア・シリーズ『ヘンリー四世』でハル王子を演じ、2019年の『ヘンリー五世』では、王となったその人物を主役として演じました。

2021年の『孤狼の血 LEVEL2』では、前作で役所さんが担っていた立場に自分が立つことになりました。そこで初めて、役所さんが先を読み、細かいところまで考えて演じていたことを実感したといいます。同じ年には映画『空白』の青柳直人役、『あの頃。』の劔樹人役も演じました。

2022年の映画『流浪の月』では、佐伯文という人物の背景や内面を深く掘り下げ、それまでで最もハードルの高い役だったと振り返っています。この作品でTAMA映画賞の最優秀男優賞を受けました。20代半ばに演出家の小川絵梨子さんから、芝居は一人で完結するものではなく相手から受け取るものだと教わったそうで、のちに演技をプレゼントの交換にたとえています。

2025年は、TBS日曜劇場『御上先生』で文部科学省の官僚から高校教師になる御上孝を演じ、日曜劇場で初めて単独主演を務めました。ザテレビジョンドラマアカデミー賞と東京ドラマアウォード2025で主演男優賞を受賞。映画でも『雪の花 -ともに在りて-』の笠原良策、『父と僕の終わらない歌』の間宮雄太、『フロントライン』の立松信貴と、まったく違う人物を演じ分けています。

松坂桃李さんの素顔は遊戯王とBUMP OF CHICKENが好きな聞き上手

シリアスな役が続く一方、仕事の外の松坂さんは漫画とゲームが大好きです。なかでも『遊☆戯☆王』への思いは強く、スマートフォン向けゲーム『遊戯王 デュエルリンクス』について、ラジオ番組などでたびたび語ってきました。

音楽では10代のころからBUMP OF CHICKENのファンです。うまくいかず落ち込んでいた時期に楽曲をくり返し聴いていたといい、無理に励ますのではなく、気持ちに寄り添ってくれる曲に支えられたと語っています。2014年公開の『BUMP OF CHICKEN “WILLPOLIS 2014” 劇場版』では、モーリ役の声で出演しました。

2015年には第44回ベストドレッサー賞、翌年にはベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2016にも選ばれています。姉妹の話に耳をかたむけて育った聞き上手な性格は、相手から受け取ることを大事にする芝居にも通じるところがありそうです。

松坂桃李さんが永六輔役と大河主演で迎える次の季節

2026年5月には映画『未来』で佐伯良太を演じ、これからの予定もすでに詰まっています。11月13日には、映画『すべて真夜中の恋人たち』で語りを担当。12月25日公開の映画『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』では、名曲「上を向いて歩こう」の作詞家・永六輔さんを演じます。作曲家の中村八大さんを岡田准一さん、歌手の坂本九さんを仲野太賀さんが演じ、三人の名前から「689トリオ」と呼ばれた顔ぶれがそろいます。監督は瀬々敬久さんです。

そして年が明ければ、いよいよ『逆賊の幕臣』の放送が始まります。撮影は2026年の夏から始まる予定と発表されていました。『VIVANT』の黒須駿と、幕末の小栗忠順。現代の諜報員と江戸の幕臣を、同じ時期に背負っていることになります。2027年は小栗忠順の生誕200年にあたる年です。歴史から消されてきた幕臣の生き方を、松坂さんがどう演じるのか。

何も言わなくても人が集まり、自然と道ができる。名前にこめられたその言葉のとおり、松坂さんの歩いてきたあとには、たくさんの作品という道ができています。

写真: Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan / CC BY 2.0 (Wikimedia Commonsより)

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