有村架純、19歳で覚悟を問われた伊丹の少女が最優秀主演女優賞に届くまで

有村架純 女性芸能人
写真: K-POPIT 케이팝잇 / CC BY 3.0(Wikimedia Commons)
有村架純の写真

伊丹で育った有村架純さんの原点

2026年9月18日、沖田修一監督の映画『さとこはいつも』が公開されました。有村架純さんは、石田ひかりさん、新人の姫野花春さんとトリプル主演を務め、映画配給会社の宣伝部で働く35歳の西田沙都子を演じています。15歳、35歳、55歳の3人の「さとこ」の物語が少しずつ交わっていく、完全オリジナルの作品です。2026年11月から12月にかけては、約5年ぶりの舞台『キュー』に出演します。

日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞も、紅白歌合戦の司会も経験してきた有村さんですが、始まりは兵庫県伊丹市です。1993年2月13日に伊丹市で生まれました。本名は有村架澄で、芸名と読みは同じ、漢字が1字だけちがいます。姉は女優でタレントの有村藍里さんです。

1歳のときには、伊丹市の自宅で阪神・淡路大震災を経験しています。上京する前は昆陽池公園の近くに住んでいて、家族でお花見をしたり、池のアヒルやカモにえさをあげたりした思い出の場所だそうです。公園の近くのたこ焼き屋さんもお気に入りで、中学生になってからもたびたび通っていました。

ドラマを見て気づいた自分ならこう演じる

女優を志したのは、伊丹市立西中学校の3年生のときです。ドラマを見ながら、自分ならこう演じると自然に考えている自分に気づきました。同じ世代の女優が数多く活躍していたことにも刺激を受けたといいます。

2009年12月、兵庫県立伊丹西高校に通っていたころに、芸能事務所フラームのオーディションを受けて合格しました。2010年1月、サンケイスポーツの新春企画「新春ガールズ」が芸能界での初めての仕事になり、4月には親元を離れて上京します。12月には事務所の携帯サイトでブログを始め、2010年から2011年にはテレビ朝日の音楽番組『オンタマ』にオンタマーシャルとして出演していました。

同じ2010年の5月、テレビ朝日の『ハガネの女』の西堀マナ役でドラマに初出演しました。10月にはTBSの『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』で正汽雅役を演じ、のちの劇場版にも同じ役で出演しています。2011年には東京ディズニーシーのCMに初めて出演し、11月には映画『ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-』で映画初主演を果たしました。

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覚悟を問われた19歳の転機

上京してしばらくは、ドラマや映画で少しずつ役を重ねる日々が続きます。2011年の映画『阪急電車 片道15分の奇跡』では門田悦子役、2012年のNHK『つるかめ助産院〜南の島から〜』では上原サヨリ役を演じました。2012年のテレビ東京『クローバー』では秋山ユイ役、2013年の関西テレビ『スターマン・この星の恋』では臼井祥子役で出演しています。

転機は上京2年目、19歳のときに訪れます。知り合いのカメラマンから、覚悟が足りないのではないかと言われました。図星を突かれたと感じると同時に、20歳を前に何かを変えなければならないとも思ったそうです。

その直後に撮影が始まったのが、2013年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』でした。有村さんが演じたのは、小泉今日子さんが演じる主人公の母、天野春子の若いころです。出番が少なくても、これまでだれも見たことがない姿を見せたい。そう決めてのぞんだ役は大きな話題になり、有村さんの名前は一気に広まりました。同じ年、出身地の伊丹市から「伊丹市大使」に任命されています。この年のCM起用社数のランキングでは圏外からトップ10に入り、業界人1,000人が選ぶ「2014年にブレイクを期待するタレント」では女性部門の1位になりました。

思い出のマーニーと映画ビリギャルで一気にブレイク

2014年は、スタジオジブリの映画『思い出のマーニー』で、オーディションをへてダブルヒロインのひとり、マーニー役に選ばれました。同じ年の10月には舞台『ジャンヌ・ダルク』で主人公のジャンヌ・ダルクを演じ、初舞台を踏んでいます。映画『ストロボ・エッジ』の役づくりでは、デビューから一度も切ったことのなかった髪を20センチ切りました。声の仕事では、同じ2014年の『くるみ割り人形』でクララ役、2019年の『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』でビアンカ役も担当しています。

2015年5月公開の主演映画『映画 ビリギャル』では、金髪のギャル、工藤さやかを演じて話題を集めます。同じ2015年には、WOWOWの『海に降る』で天谷深雪役を演じ、連続ドラマで初めて主演を務めました。『映画 ビリギャル』では第39回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞と新人俳優賞を、『ストロボ・エッジ』とあわせて第58回ブルーリボン賞の主演女優賞を受けました。

2016年1月には、フジテレビの月9『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で杉原音役を演じ、民放の連続ドラマで初めて主演を務めます。この年の大みそかには第67回NHK紅白歌合戦で紅組司会を務め、翌2017年も2年続けて紅組司会を担当しました。

ひよっこから花束みたいな恋をしたへ

2017年前期のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』では、ヒロインの谷田部みね子を演じました。脚本の岡田惠和さんの強い希望もあり、オーディションなしで主演が決まった作品です。この役で第94回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞、第26回橋田賞の新人賞を受けました。2019年には続編の『ひよっこ2』も放送されています。

映画では、2016年の『何者』で田名部瑞月役、2017年の『3月のライオン』で幸田香子役、『関ヶ原』で初芽役、2018年の『コーヒーが冷めないうちに』で時田数役と、話題作への出演が続きます。ドラマでも2018年のTBS『中学聖日記』で末永聖役、2020年の『姉ちゃんの恋人』で安達桃子役と主演が続き、2021年には『有村架純の撮休』と『劇場版 そして、生きる』が評価され、第12回 Asian Pop-Up Cinema の BRIGHT STAR AWARD を日本人として初めて受けました。

2021年1月公開の主演映画『花束みたいな恋をした』では、八谷絹を演じて大ヒットに導き、第45回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受けました。同じ年には映画『るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning』で雪代巴役を、日本テレビの『コントが始まる』で中浜里穂子役を演じ、日経トレンディの「2021年 今年の顔」にも選ばれています。

有村架純さんのいま 映画と舞台が続く2026年

2022年はTBSの『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』で石田硝子役を演じ、映画『前科者』の阿川佳代役で第47回報知映画賞の主演女優賞を受けました。年末には第64回日本レコード大賞で、安住紳一郎さんと総合司会を務めています。2023年はNHK大河ドラマ『どうする家康』で築山殿、瀬名を演じ、大河ドラマに初めて出演しました。

2024年はフジテレビの『海のはじまり』で百瀬弥生役、映画『ディア・ファミリー』で山本結子役を演じています。2025年は映画『花まんま』の加藤フミ子役、『雪風 YUKIKAZE』の寺澤多賀子役、『ブラック・ショーマン』の神尾真世役と、3本の映画が公開されました。

2026年は4月から6月にTBSのドラマ『GIFT』で霧山人香役を演じ、6月公開の映画『マジカル・シークレット・ツアー』では小川和歌子役を務めました。2024年に配信されたNetflixのドラマ『さよならのつづき』では、菅原さえ子役を演じています。9月の『さとこはいつも』に続いて出演する舞台『キュー』は、11月15日から29日まで東京芸術劇場 プレイハウス、12月4日から6日まで大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演されます。上田岳弘さんの小説を白井晃さんが演出する作品で、瀬戸康史さんらと共演し、1人で3つの役を演じます。2026年10月には、『さとこはいつも』でともにトリプル主演を務めた姫野花春さんが、第31回釜山国際映画祭で最優秀俳優賞を受けました。

二階堂ふみさんと里山へ シンプルが好きな素顔

ふだんの服装は、シンプルでカジュアルなものが好きだそうです。好きなアーティストには、Mr.Children、aiko、星野源さん、椎名林檎さん、AKB48の名前を挙げています。

友人づきあいも長く続いています。2016年の月9で共演した高畑充希さん、森川葵さんとは、ドラマが終わってからも定期的に集まり、3人で誕生日を祝うこともあるそうです。二階堂ふみさんとも仲がよく、東京の里山でいっしょに休日を過ごしています。2021年にはBSフジの番組『おふみとかすみの休日』で、二人そろって出演しました。

旅の番組でもさまざまな表情を見せてきました。2014年にはテレビ東京の『有村架純 オーロラに逢いたい! 北欧ひとり旅』、2017年にはNHKの『有村架純 カナダ大自然の旅』でナビゲーターを務めています。2015年のフジテレビ『私たちに戦争を教えてください』でもナビゲーターを担当しました。2025年には、阪神・淡路大震災を伝える『NNNドキュメント’25』でナレーションを担当しました。

これからの有村架純さん

中学3年生のとき、ドラマを見ながら自分ならこう演じると考えていた少女は、いま日本の映画とドラマを支える女優のひとりになりました。19歳で覚悟を問われ、『あまちゃん』の天野春子で一歩をふみ出してから、朝ドラのヒロイン、大河ドラマ、最優秀主演女優賞と、着実に階段を上ってきました。

有村さんの強みは、映画とドラマのどちらでも主演を任される確かさにあります。2015年の『映画 ビリギャル』でブルーリボン賞の主演女優賞を受けてから、2021年の最優秀主演女優賞、2022年の報知映画賞の主演女優賞と、節目ごとに評価を重ねてきました。2026年は、連続ドラマの『GIFT』に、映画が2本、そして舞台と、仕事の場がさらに広がっています。舞台は2021年の『友達』以来で、1人3役という新しい挑戦です。映像の中とはちがう、劇場ならではの有村さんに出会えるでしょう。

伊丹の昆陽池のほとりで育った少女が、これからどんな役で驚かせてくれるのか。まずは2026年9月公開の『さとこはいつも』と、11月に幕を開ける舞台『キュー』で、この年の有村さんを確かめてみてください。

写真: K-POPIT 케이팝잇 / CC BY 3.0 (Wikimedia Commonsより)

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