
星野源さんの2026年、10年のラジオを終えて新曲「好き」へ
2026年3月31日、星野源さんは10年つづけた『星野源のオールナイトニッポン』を終えました。終わる前の3月8日には、日本武道館でイベント『星野源のオールナイトニッポンin日本武道館』を開いています。
春には、2025年の全国アリーナツアーを記録した映像作品『Gen Hoshino presents MAD HOPE Japan Tour』が出て、オリコンの週間映像ランキングで1位をとりました。通算7作目の1位で、ソロアーティストとして歴代1位タイの記録です。同じツアーはNetflixでも特別編集版『Gen Hoshino presents MAD HOPE MAD MUSIC』として配信されました。そして7月29日には新曲「好き」が配信されました。TBSの火曜ドラマ『君の好きは無敵』の主題歌です。
音楽家であり、俳優であり、文章も書く人。その三つの顔は、埼玉の中学校でギターと演劇を同時に始めたところから育ってきました。
八百屋とジャズ喫茶の家、自由の森学園でギターと演劇に出会う
星野源さんは1981年1月28日、埼玉県で生まれました。星野源は本名です。漢字1文字で外国の人にも呼びやすく、雨の水曜日に生まれたので水に関係のあるさんずいの字を、という両親の思いから「源」と名づけられました。実家はもともと八百屋で、のちにジャズ喫茶「signal」を開いていました。
自由の森学園中学校・高等学校に通い、中学生のときにギターと演劇を始めます。自分のJ-POPの原体験にはB’zの「LADY NAVIGATION」をあげています。少年のころはB’zのほかにUNICORN、サザンオールスターズなどをよく聞き、とくにUNICORNのアルバム『服部』は聞きたおしたそうです。洋楽ではマイケル・ジャクソンやプリンスなど、ブラック・ミュージックに影響を受けました。
高校生のとき、劇団・大人計画の舞台を見て心をつかまれ、劇団のワークショップに参加します。のちに俳優として呼ばれていく場所との出会いでした。
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SAKEROCKのギターとマリンバ、大人計画への所属
2000年10月、星野さんは同じ高校の同級生たちを誘って、歌のないインストゥルメンタルバンド、SAKEROCKを結成しました。リーダーとして、おもにギターとマリンバを担当しています。マリンバは木の板をたたいて鳴らす、大きな木琴のような楽器です。
芝居のほうでは、2003年の舞台『ニンゲン御破算』への参加をきっかけに、大人計画に入ることが決まりました。2005年のTBSドラマ『タイガー&ドラゴン』では、下っぱの落語家「どんつく」を演じています。その前の2003年には、フジテレビのドラマ『WATER BOYS』に星山役で出て、劇中歌の作詞・作曲もしていました。大人計画の『ウーマンリブ』シリーズや、2007年のミュージカル『キャバレー』など、舞台にも立ちつづけています。
2007年からは雑誌『テレビブロス』で「細野晴臣と星野源の地平線の相談」の連載が始まりました。映像制作のユニット「山田一郎」も主宰し、SAKEROCKのミュージックビデオ「ホニャララ」が2009年にスペースシャワーのミュージックビデオの賞を受けています。バンド、芝居、文章、映像と、このころからすでに手を広げていました。
細野晴臣さんのレーベルからソロデビュー
2010年、星野さんはソロデビューします。6月に出た最初のアルバム『ばかのうた』は、細野晴臣さんが主宰するレーベル「デイジーワールド」から発売されました。翌2011年のアルバム『エピソード』はオリコン週間チャートで5位に入り、CDショップ大賞の準大賞を受けています。
俳優としても、2010年のNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』で及川貴司を演じました。2013年には映画『箱入り息子の恋』で主演をつとめ、天雫健太郎を演じています。同じ年の『地獄でなぜ悪い』での橋本公次役とあわせて、第37回日本アカデミー賞の新人俳優賞などを受けました。同じ年のアニメ映画『聖☆おにいさん』では、主人公のブッダの声を担当しています。2012年に始まったNHKのコント番組『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』にも出演し、コントでも親しまれるようになりました。
2015年6月2日、SAKEROCKは解散し、両国国技館でラストライブを開きました。同じ年にはドラマ『コウノドリ』で産婦人科医の四宮春樹を演じ、2017年の第2シリーズでも同じ役をつとめています。
「恋」と恋ダンス、星野源さんが社会現象になった2016年
2016年、アルバム『YELLOW DANCER』がCDショップ大賞を受けました。3月には『星野源のオールナイトニッポン』が始まり、大河ドラマ『真田丸』では徳川秀忠を演じています。
そして10月、TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』が始まりました。星野さんは主人公の津崎平匡を演じ、主題歌「恋」も担当しています。エンディングで出演者たちが「恋」に合わせて踊る「恋ダンス」も含めて、ドラマは社会現象になりました。星野さんはこの役で、コンフィデンスアワード・ドラマ賞の助演男優賞やエランドール賞の新人賞を受けています。
2017年にはエッセイ集『いのちの車窓から』を出し、伊丹十三賞も受けました。NHKの『おげんさんといっしょ』が始まったのもこの年です。この年の「Family Song」は、MTV VMAJでその年のベストビデオに選ばれました。2018年にはNHK連続テレビ小説『半分、青い。』の主題歌「アイデア」を出しました。2019年にはアルバム『POP VIRUS』をひっさげて初めての5大ドームツアーを回り、海外4か所での初のワールドツアーも開いています。
志摩一未、曽根俊也、役でも広がる星野源さん
俳優の仕事も、2019年以降さらに広がりました。大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では平沢和重を、映画『引っ越し大名!』では主演の片桐春之介を演じています。アニメ映画の声でも、2017年の『夜は短し歩けよ乙女』で先輩、2018年の『未来のミライ』でおとうさんを演じました。
2020年のTBSドラマ『MIU404』では、綾野剛さんとのダブル主演で刑事の志摩一未を演じました。2024年の映画『ラストマイル』にも、志摩一未として登場しています。同じ2020年の映画『罪の声』では、曽根俊也を演じて報知映画賞の助演男優賞を受けました。これが初めての助演男優賞です。
多くの人が家で過ごした2020年には「うちで踊ろう」を発表し、日本中を元気づけたとして『GQ Men of the Year』の賞にも選ばれました。2022年の「喜劇」は、アニメのエンディング曲として、海外のクランチロール・アニメアワードで最優秀エンディング賞を受けています。2022年にはNHKのドラマ『17才の帝国』で平清志を、2025年にはTBSのドラマ『スロウトレイン』で百目鬼見を演じています。2023年にはNetflixのトーク番組『LIGHTHOUSE』で、オードリーの若林正恭さんと語り合いました。
ラジオのハガキ職人、ゲーム好き、星野源さんの素顔
星野さんは大のラジオ好きです。学生時代は『コサキンDEワァオ!』にハガキを送るハガキ職人でした。大人になってからも、TBSラジオの番組がジングルを募集したときにこっそり応募して最優秀賞をとり、作者だと気づかれないまま2年以上も使われていたそうです。自分の『オールナイトニッポン』では、2017年にギャラクシー賞のDJパーソナリティ賞を、2024年には放送文化基金賞の奨励賞を受けました。
インドア派で、ゲームやアニメも大好きです。とくに『MOTHER』シリーズには思い入れが強く、任天堂の横井軍平さんや宮本茂さんの考え方を、自分の音楽づくりにも取り入れていると明かしています。小学生のころからハナ肇とクレージーキャッツのファンで、「Crazy Crazy」はクレージーキャッツをイメージして作った曲です。
好きな機材は、リズムマシンのローランド・TR-808です。愛称が「やおや」で、実家が八百屋だったこともあり、作業場のスタジオの名前にも「808」をつけています。ライブや映像には、若いころの布施明さんをまねた名物キャラクター「ニセ明」も登場します。布施さん本人の許可もとっているそうです。
星野源さんのこれから、アルバム『Gen』のその先へ
2025年5月14日、星野さんは6枚目のアルバム『Gen』を出し、約6年ぶりの全国ツアー『Gen Hoshino presents MAD HOPE』を開きました。台北、上海、ソウルでもアジアツアーを回っています。同じ年の3月には『おげんさんといっしょ』が第7弾でファイナルを迎え、2026年1月からはNHKで『星野源と松重豊のおともだち』が放送されました。
2026年のMUSIC AWARDS JAPANでは、韓国のラッパー、イ・ヨンジさんと組んだ「2(feat. Lee Youngji)」が、最優秀クロスボーダー・コラボレーション楽曲賞に選ばれました。新曲「好き」のミュージックビデオは、星野さん自身がカメラを回し、友人の藤井隆さんと飯尾和樹さんとの旅を撮った作品です。10月には「恋」の10周年を記念した7インチのアナログ盤も発表されました。LE SSERAFIMの「Kawaii (Prod. Gen Hoshino)」のように、ほかのアーティストのプロデュースも手がけています。
かつて自分の音楽を「イエローミュージック」と名づけていた星野さんは、2024年のエッセイ集『いのちの車窓から2』で、その呼び方を自分で見直しています。いろいろな人たちが生んだ音楽から受け取ってきたものだから、と。ずっと考えを更新しながら作りつづける人の、次の一曲が楽しみです。
写真: Space Shower Music / CC BY-SA 2.0 (Wikimedia Commonsより)

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