横浜流星、空手で世界一の少年が大河『べらぼう』主演へ 仕事がない1年を越えて

横浜流星 男性芸能人
写真: マイナビニュース【エンタメ・ホビー】 / CC BY 3.0(Wikimedia Commons)
横浜流星の写真

横浜流星さんが1年かけて生きた大河『べらぼう』の蔦屋重三郎

2025年1月5日から12月14日まで、NHKの大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』が放送されました。主人公は、江戸の町で本や浮世絵を世に送り出した蔦屋重三郎、通称「蔦重」。演じたのは横浜流星さんです。大河ドラマは初出演で、いきなりの主演でした。脚本は森下佳子さんです。

同じ2025年の3月には、主演映画『正体』で第48回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受けています。6月に公開された映画『国宝』では、主人公と芸を競いあう俊介を演じました。『国宝』は実写の日本映画で歴代1位の興行収入を記録しています。

いまや映画とドラマの真ん中に立つ横浜さんですが、戦隊ヒーローを演じたあとには、1年ほどまったく仕事がない時期がありました。空手で世界一になった少年が、どうやって俳優の道を歩いてきたのかをたどります。

原宿でのスカウトと、極真空手の世界一

横浜流星さんは1996年9月16日、神奈川県横浜市で生まれました。「横浜流星」は本名です。ただ、横浜市で過ごしたのは生まれてから数か月だけで、その後は埼玉県で育ちました。「流星」という名前には、自信を持って輝いてほしいという願いと、生まれた瞬間に流れ星が流れたという由来があります。名字のせいで、オーディションでは必ず「ベイスターズ好きなの?」と聞かれたそうですが、両親は野球にまったく興味がなかったといいます。

小学6年生のとき、家族と初めて出かけた原宿でスカウトされ、スターダストプロモーションに入りました。初めての仕事は学習塾「栄光ゼミナール」のCMです。雑誌『ニコプチ』のメンズモデルを経て、2011年からは姉妹誌『nicola』のメンズモデルに。人気投票で1位になり、メンズモデルとして初めて誌上の連載を持ちました。

そのころの横浜さんが打ちこんでいたのが極真空手です。中学3年生だった2011年、「第7回国際青少年空手道選手権大会」の13・14歳男子55kg以下の部で優勝し、世界一になりました。高校1年生の2012年にも、同じ大会の15歳男子65kg以下の部で3位に入っています。中学時代は芸能の仕事より空手を優先していて、事務所に入ったばかりのころは、新人向けのレッスンにもあまり行っていなかったと明かしています。

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仮面ライダーフォーゼからトッキュウジャーへ

テレビドラマの初出演は、2012年1月の『仮面ライダーフォーゼ』です。吉沢亮さんが演じた朔田流星(仮面ライダーメテオ)の親友・井石二郎の役でした。2013年には『リアル鬼ごっこ THE ORIGIN』で初めてドラマのレギュラーをつかみます。

大きく注目されたのは、2014年2月から1年間放送された『烈車戦隊トッキュウジャー』です。横浜さんはヒカリ、トッキュウ4号を演じました。ヒカリはけん玉が得意という設定だと聞いて、けん玉を練習してから撮影に入ったそうです。役になじむために、ふだんの生活でも一歩引いて物事を見るようにしていたといいます。一方で、アフレコでは空手の経験から、戦う場面で掛け声を出すことに違和感があり、苦労したと明かしています。第33話は横浜さんの希望で空手を題材にした回になり、天才型と努力家を比べるテーマに、自分の経験から共感できたと語っています。

アクションへの思いも強く、トッキュウ4号のスーツアクターを務めた竹内康博さんは、ほかのメンバーが吹き替えを使う場面でも、危険なもの以外は横浜さんが自分で演じていたと証言しています。2015年9月には舞台『武士白虎 もののふ白き虎』で初めて主演を務めました。

仕事がなかった1年と、歌での新しい一歩

ところが、戦隊シリーズが終わったあと、順調な日々が続いたわけではありませんでした。横浜さんは当時をこう振り返っています。「戦隊シリーズが終わって、この世界で生きていこうと決めたんですけど、1年間くらいまったく仕事がなくて。オーディションで落ちるたびに人生の選択を間違えたのかと悩んだり、自分がやるべきことを見失って迷走していた時期がありました。」

それでも、少しずつ出番は増えていきます。2016年4月にはオムニバス映画『シュウカツ』の第二話「二次面接・拡散」で映画初主演。2017年1月には、GReeeeNの曲をもとにした映画『キセキ -あの日のソビト-』に出演し、劇中のグループ「グリーンボーイズ」としてCDデビューも果たしました。

2018年にはソロ歌手としてデビューし、シングルの収録曲「未完成」で初めて作詞にも挑戦しています。2019年1月公開の映画『愛唄 -約束のナクヒト-』では単独で主演を務めました。仕事のない日々に迷ったところから、歌と芝居の両方で一歩ずつ前に進んでいったのです。

ピンク髪の「ユリユリ」で一気にブレイク

転機は2019年1月の火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』でした。横浜流星さんが演じたのは、ピンク色の髪で不良に見えて、根は真面目で純粋な高校生・由利匡平、通称「ユリユリ」です。この役はオーディションで決まり、有賀聡プロデューサーは「横浜くんは満場一致でした」と明かしています。

放送をきっかけにInstagramのフォロワーは約50万人増え、同じころに出た写真集『流麗』は発売前に重版が決まりました。この役で「ザテレビジョンドラマアカデミー賞」や「東京ドラマアウォード2019」の助演男優賞を受けています。6月には日本テレビの情報番組『ZIP!』で、月替わりの金曜パーソナリティーも務めました。

この年の6月末からは『あなたの番です -反撃編-』の二階堂忍、『4分間のマリーゴールド』の花巻藍、そして初めてプライムタイムの連続ドラマで主演した『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』の森島直輝と、3クール続けてドラマに出演しました。2020年1月には、『愛唄』『チア男子!!』『いなくなれ、群青』の演技で日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。8月には『私たちはどうかしている』で高月椿を演じ、主演を務めています。10月公開の映画『きみの瞳が問いかけている』では篠崎塁を演じ、三木孝浩監督は「目の芝居が良い。表情の豊かさがあります。」と評しました。

体ごと役に入る 銀髪の斑目貘からプロボクサーの試験まで

横浜さんは、役のために見た目や体を変えることをいといません。2022年2月公開の主演映画『嘘喰い』では、天才ギャンブラーの斑目貘を演じるために髪を銀色に染めました。ドラマ『DCU〜手錠を持ったダイバー〜』でダイバーの瀬能陽生を演じたときは、撮影の前にスキューバダイビングのライセンスを取っています。

同じ2022年には映画『流浪の月』で中瀬亮、『アキラとあきら』で階堂彬、『線は、僕を描く』で青山霜介を演じ、『流浪の月』で報知映画賞の助演男優賞を受けました。Netflixのドラマ『新聞記者』で演じた木下亮の役では、釜山国際映画祭のアジアコンテンツアワードでニューカマー賞に選ばれています。藤井道人監督は横浜さんについて「作品に尽くすすごさがある」と語っています。

極めつけは、2023年8月公開の主演映画『春に散る』です。ボクサーの黒木翔吾を演じるため、2022年4月にボクシングを始め、2023年6月にはプロテストに合格しました。日本ボクシングコミッションのC級ライセンスです。この年は『ヴィレッジ』の片山優と『春に散る』の演技で、報知映画賞の主演男優賞を受賞しました。

『正体』で最優秀主演男優賞 そしていまの横浜流星さん

2024年11月公開の映画『正体』で、横浜さんは鏑木慶一という青年を演じました。この作品で報知映画賞の主演男優賞を2年続けて受け、さらに毎日映画コンクールの主演俳優賞、ヨコハマ映画祭の主演男優賞、そして2025年3月14日に第48回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞に選ばれました。

2025年は『べらぼう』の放送と並んで、映画『片思い世界』で高杉典真、『国宝』で大垣俊介を演じています。『国宝』は公開172日で興行収入173億円を超え、実写の日本映画として22年ぶりに歴代1位が入れ替わりました。俊介の役で、2026年には日本アカデミー賞の優秀助演男優賞と日本映画批評家大賞の助演男優賞を受けています。11月にはNetflixの『イクサガミ』で天明刀弥を演じました。

2026年に入ってからも出演が続きます。4月の劇場アニメ『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』では大前一暁の声を担当。10月9日には、凪良ゆうさんの本屋大賞受賞作を藤井道人監督が映画にした『汝、星のごとく』が公開され、横浜さんは広瀬すずさんと共演して青埜櫂を演じています。10月16日からはTBSの金曜ドラマ『LOST10』で主演を務め、北海道の警察署に勤める刑事・小駒を演じています。

素顔は家で壁を見つめるのが好きなインドア派

画面の中の激しい役とはうらはらに、ふだんの横浜さんは「極力僕は家にいるので」と話すほどのインドア派です。人に悩みを相談しないタイプなので、自分の部屋で自分を見つめ直す時間を大切にしているといいます。瞑想のように精神を統一して、家の壁を見るのが好きだそうです。

好きな言葉は「継続は力なり」。好きな食べ物は激辛ラーメン、肉、焼き芋で、好きな色は紫と黒。持ち物にも紫が多いと話しています。好きなキャラクターはカービィで、映画『きみの瞳が問いかけている』で共演した吉高由里子さんから、カービィのぬいぐるみをプレゼントされました。音楽を聴くのが趣味で、amazarashi、yama、ケシャを好きなアーティストに挙げています。尊敬する俳優は三浦友和さん、綾野剛さん、山田孝之さんです。

空手で世界一になり、仕事のない1年を越え、大河の主役までたどり着いた横浜流星さん。役ごとに体ごと変わっていくその姿は、これからどんな顔を見せてくれるのか、次の作品を待ちたくなります。

写真: マイナビニュース【エンタメ・ホビー】 / CC BY 3.0 (Wikimedia Commonsより)

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