
『ナイトフラワー』と朝ドラで輝く北川景子さん
2025年の北川景子さんは、出演作が次々に話題を集めた1年を過ごしました。春は関西テレビ・フジテレビの連続ドラマ『あなたを奪ったその日から』で中越紘海を演じて主演を務め、日刊スポーツ・ドラマグランプリの春ドラマ主演女優賞を受けています。秋にはNHK連続テレビ小説『ばけばけ』に出演し、ヒロイン・トキの親戚にあたる雨清水タエを演じました。役について北川さんは、インタビューで「タエは自分が雨清水家の人間であることをすごく誇りに思っている、王道の武家の娘です。」と話しています。
11月に公開された映画『ナイトフラワー』では、内田英治監督のもとで永島夏希を演じました。昼はパート、夜はスナックで働くぎりぎりの暮らしのなか、2人の子どもの夢をかなえるためにドラッグの売人になると決める母親です。この役で第50回報知映画賞の主演女優賞を受け、2026年の第49回日本アカデミー賞では、優秀主演女優賞にも選ばれました。
そんな北川さんが中学・高校時代に思い描いていた夢は、女優ではなく精神科医でした。神戸の女子校で理系コースに通っていた高校生が、どうやってこの場所までたどり着いたのか。作品と役名をたどりながら見ていきます。
神戸で精神科医を夢見た北川景子さんの10代
北川景子さんは1986年8月22日、兵庫県神戸市中央区で生まれました。小学2年生のときには阪神・淡路大震災を経験しています。2020年1月には、NHKスペシャル「あの日から25年 大震災の子どもたち」にも出演しました。
中学・高校時代の夢は精神科医でした。高校は名門の女子校に進み、理系のコースで学びます。ところが成績は思うように伸びず、模試の点数や偏差値ですべてを評価されることに疑問を感じ始めていました。ちょうどそのころ、地元の神戸でモデル事務所からスカウトされます。
気分転換にタレントのレッスンに通いたいと親に相談したところ、それで成績が伸びるのならという条件つきで許しが出たそうです。勉強の息抜きのつもりで始めたレッスンでしたが、事務所に入って間もなく、雑誌『SEVENTEEN』と特撮ドラマ『美少女戦士セーラームーン』への出演が決まりました。こうして北川さんは、神戸から東京へ向かうことになります。のちに明治大学商学部商学科を卒業しており、仕事と学業を両立させながら歩んだ10代と20代の始まりでした。
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セーラーマーズから始まった女優の道
2003年、北川さんは「ミスSEVENTEEN」に選ばれてモデルとしてデビューします。同じ年の10月には、中部日本放送制作のドラマ『美少女戦士セーラームーン』で火野レイ(セーラーマーズ)を演じ、女優としての一歩を踏み出しました。放送は2004年9月まで、1年にわたって続いています。
2006年5月、森田芳光監督の『間宮兄弟』で本間夕美を演じ、映画に初めて出演しました。その2週間後には『水に棲む花』も公開されます。9月には、オーディションを通過してハリウッド映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』にレイコ役で出演しました。登場する場面は多くないものの、国内でもまだ名前が知られていない若手の大抜擢でした。
10月には『チェリーパイ』の清原つぐみ役で映画初主演。2007年は『Dear Friends』の高橋リナ、『そのときは彼によろしく』の葛城桃香、『サウスバウンド』の上原洋子と出演が続きました。『サウスバウンド』は、デビュー作の森田監督と再び組んだ作品です。そして同じ年の10月、テレビ朝日の『モップガール』で長谷川桃子を演じ、連続ドラマで初めて主演を務めました。
月9と時代劇で重ねた20代前半の挑戦
2008年にはフジテレビ月9の『太陽と海の教室』で榎戸若葉を演じ、初めて月9枠に出演します。翌2009年の『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』ではヒロインの白河莉子を演じ、日刊スポーツ・ドラマグランプリの夏ドラマ主演女優賞を受けました。2010年の『月の恋人〜Moon Lovers〜』では大貫柚月を演じ、3年続けて月9に出演しています。
映画でも新しい挑戦が続きました。2009年の『真夏のオリオン』では、戦争を描く作品に初めて出演し、現代の倉本いずみと戦時中の有沢志津子という2人の女性を1人で演じ分けています。2010年の『花のあと』では時代劇に初挑戦し、女性剣士の以登を吹き替えなしで演じました。
同じ2010年には単発ドラマ『筆談ホステス』で斉藤里恵を演じ、単発ドラマ初主演。2011年1月にはTBS金曜ドラマ『LADY〜最後の犯罪プロファイル〜』で香月翔子を演じ、ゴールデンタイムの連続ドラマで初めて主演を務めました。同じ年の8月には日本テレビのドラマ『この世界の片隅に』で浦野(北條)すずを演じています。モデルから始まった北川さんが、主演を任される女優へと着実に歩みを進めていった時期です。
宝生麗子と三軒屋万智でつかんだブレイク
大きな転機になったのが、2011年10月に始まったフジテレビの『謎解きはディナーのあとで』です。お嬢様刑事の宝生麗子を演じ、スペシャルドラマや2013年の映画版まで続く人気シリーズになりました。2012年には『みをつくし料理帖』で澪を、日本テレビの『悪夢ちゃん』で武戸井彩未を演じています。『悪夢ちゃん』のスペシャル版では、事務所の後輩のももいろクローバーZとユニット「きもクロZ」を組み、デビュー以来10年ぶりに本格的な歌とダンスのレッスンを受けました。
2014年には月9『HERO』第2シリーズで麻木千佳を演じ、2015年の映画版にも出演。映画では2013年の『ルームメイト』で萩尾春海、2014年の『抱きしめたい -真実の物語-』で山本つかさを演じ、いずれも主演を務めました。同じ2015年の『探偵の探偵』では紗崎玲奈役で本格的なアクションに挑み、そのためにキックボクシングも身につけました。
そして2016年、日本テレビの『家売るオンナ』で三軒屋万智を演じます。同じ時期に放送されたドラマのなかで初回・最終回・平均視聴率の1位となり、12%を超えた回は10話中5回。第90回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の最優秀主演女優賞にも選ばれました。2019年の続編『家売るオンナの逆襲』でも、同じ時期のドラマで唯一、全話で視聴率10%を超えています。
大河ドラマと映画で広がった北川景子さんの役柄
2018年、『西郷どん』で天璋院篤姫を演じ、NHK大河ドラマに初めて出演しました。同じ年の『スマホを落としただけなのに』では4年ぶりに映画で主演を務め、稲葉麻美を演じています。公開から3週間で累計動員107万人、興行収入14億円を超えるヒットになりました。前年公開の『探偵はBARにいる3』の岬マリ役では、第41回日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を受けています。
2021年は映画『ファーストラヴ』で真壁由紀を、TBS金曜ドラマ『リコカツ』で水口咲を演じました。『リコカツ』は第1話の無料見逃し配信の再生回数がTBSドラマの歴代1位となり、TVerの番組別再生回数でも歴代1位を記録しています。同じ2021年には『キネマの神様』で桂園子を演じ、山田洋次監督の作品に初めて出演。2022年には瀬々敬久監督の『ラーゲリより愛を込めて』で山本モジミを演じました。
2023年は5年ぶりの大河ドラマ『どうする家康』でお市を演じ、さらにその娘の茶々も演じています。茶々の配役は事前に明かされず、放送で初めて分かるという驚きの起用でした。1月にはフジテレビ月9『女神の教室〜リーガル青春白書〜』で柊木雫を演じ、月9で初めて主演。この2作で第32回橋田賞を受け、9月からはWOWOWの『連続ドラマW 落日』で長谷部香を演じました。
北川景子さんの素顔はデヴィッド・ボウイとドラムと手芸
北川さんは両親の影響で1970年代、80年代の洋楽にくわしく、なかでもデヴィッド・ボウイを心から敬愛しています。好きなアーティストにはThe Police、L’Arc〜en〜Ciel、B’z、三浦大知さんなども挙げています。明治大学商学部商学科に通っていたころは、2年生まで軽音楽サークルでドラムを担当していました。
宝塚歌劇団の大ファンで、趣味は映画・音楽・絵画鑑賞と読書。ハンドメイドも好きで、2025年からは手芸雑誌『COTTON TIME』で連載を持っています。家ではJILLという名前のメインクーンの猫を飼っています。
2013年からは毎年クリスマスのころに「北川ファミリーミーティング」と題したファンとの交流イベントを開き、ファンとの距離を大切にしてきました。オリコンの『女性が選ぶ「なりたい顔」ランキング』では、2024年までに8度も1位に選ばれています。その一方で、2018年の『オールスター感謝祭』では4分間まばたきをしない企画をひとりで達成し、2020年の『しゃべくり007』では5分50秒まで記録を伸ばしました。バラエティで見せるこうした意外な一面も、多くの人に親しまれる理由のひとつです。
初舞台に挑む北川景子さんのこれから
2026年も北川さんの活躍は続いています。5月には湊かなえさん原作の映画『未来』が公開され、『ラーゲリより愛を込めて』の瀬々敬久監督と再び組んで、主人公の教え子・佐伯章子の母、佐伯文乃を演じました。8月15日にはNHK『夏の音楽祭 うたであえたら 2026』で大森元貴さん、二宮和也さんとともに司会を担当。8月29日の『24時間テレビ49』のドラマスペシャル「幸せはある」では、つんく♂さんと家族の実話をもとにした作品で主演し、加奈子さんを演じています。10月3日にはBS日テレで『北川景子が見つめたレオナルド・ダ・ヴィンチのまなざし』も放送されました。
そして2027年2月には、東京芸術劇場 プレイハウスで上演予定のイプセン原作『ヘッダ・ガブラー』で、主演のヘッダを演じる予定です。映像の世界で20年以上走り続けてきた北川さんにとって、これが初めての舞台です。
勉強の息抜きに始めたレッスンから開けた道は、セーラーマーズ、宝生麗子、三軒屋万智、お市、そして永島夏希へとつながってきました。役の幅を広げ続ける北川さんが、劇場の舞台でどんな表情を見せてくれるのか、いまから楽しみです。
写真: Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan / CC BY 2.0 (Wikimedia Commonsより)


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