
芦田愛菜さんが2026年の月10ドラマで演じる新人弁護士
2026年10月19日、カンテレ・フジテレビ系の月10ドラマ『南田南弁護士は天才肌』が始まりました。主人公の新人弁護士・南田南を演じているのは芦田愛菜さんです。原作は、2022年に韓国で放送され、Netflixで世界的なヒットとなった『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。本作はその日本版リメイクです。南は、自閉症の特徴から人の目を見るのが苦手な新人弁護士です。第1話では、介護していた夫を傷つけた罪に問われた妻・一ノ瀬圭子(朝加真由美さん)の弁護を、初めての案件として担当しました。
共演は、南が初めて恋心を抱く同僚・船井湊人役の高橋文哉さんと、南の父・誠役の角田晃広さん。放送を前にしたコメントで、芦田さんは役作りから今まで南と毎日向き合ってきたとふり返り、「いよいよみなさまにお届けできる!と思うと嬉しいです」と語りました。
2023年から大学で政治学を学びながら主演作を重ねる芦田さんですが、大きな転機は5歳のとき。本来なら応募の資格がなかったオーディションでした。子役として社会現象を起こし、学業を軸にしながら大人の俳優へと歩んできた道のりを、作品とともにたどります。
兵庫県西宮市生まれ、3歳で始まった芸能の道
芦田さんは2004年6月23日、兵庫県西宮市で生まれました。所属はジョビィキッズプロダクションです。芸能活動を始めたのは3歳のとき。2009年に『ABC 家族レッスン ショートムービー2“だいぼーけんまま”』で子役としてデビューしました。
デビューの年には、WOWOWのドラマ『結党!老人党』で香田由芽役を演じています。2010年1月にはTBSの『特上カバチ!!』第3話に枯草美咲役で出演し、4月公開の映画『半分の月がのぼる空』では夏目未来役を演じました。まだ名前を広く知られる前の、ひとつひとつの役を経験していた時期です。2010年からは日本テレビの『天才!志村どうぶつ園』にも出演し、「芦田愛菜のどうぶつ社会科見学」などのコーナーで動物たちとふれ合う姿を見せていきます。
兵庫県出身の芦田さんは、ふだんは関西弁で話すそうです。テレビでは共通語で話すことが多いものの、のちに主演する映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』では、関西弁で役を演じています。
あわせて読みたい:白石聖の生い立ちと軌跡はこちら
年齢が足りなかった『Mother』のオーディション
大きな転機は、2010年の日本テレビのドラマ『Mother』でした。書類審査の時点で芦田さんは5歳。7歳に達していないため参加資格がなく、当初はオーディションを見送っています。それでも事務所の推薦を受けて参加すると、セリフ回しや表情、しぐさに独特のテンポがあり、ほかの子どもとは明らかに違っていたといいます。
キャスティング担当者と、急きょ会場に呼ばれた脚本家が話し合い、出演が決まりました。脚本家は芦田さんの背格好や話し方に合わせて、役の設定と脚本の一部を変えています。演じたのは、母親からネグレクトを受ける少女・道木怜南。難しい役どころを演じきり、ザテレビジョンドラマアカデミー賞の新人賞など、数多くの新人賞を受けました。
同じ2010年には、映画『告白』の森口愛美役、『ゴースト もういちど抱きしめたい』の少女のゴースト役にも出演。『ゴースト』では第34回日本アカデミー賞の新人俳優賞に選ばれています。さらにオーディションを経て、2011年の大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』で茶々と千の幼少期を演じました。
マルモのおきてと紅白で芦田愛菜さんは国民的な存在に
2011年3月、日本テレビの『さよならぼくたちのようちえん』で、日本のテレビドラマ史上最年少での初主演を果たします。翌4月にはフジテレビの『マルモのおきて』で笹倉薫役を演じ、ゴールデン帯の連続ドラマで史上最年少の主演となりました。
共演の鈴木福さん、犬のムックと組んだユニット「薫と友樹、たまにムック。」で歌った主題歌「マル・マル・モリ・モリ!」は大ヒット。日本レコード大賞の特別賞を受け、年末の第62回NHK紅白歌合戦には7歳193日で出演して、紅白の最年少出場記録を塗りかえました。10月には「ステキな日曜日〜Gyu Gyu グッデイ!〜」でソロデビューもしています。
映画でも、『うさぎドロップ』の鹿賀りん役と『阪急電車 片道15分の奇跡』の萩原亜美役で、2012年に第54回ブルーリボン賞新人賞を史上最年少で受賞しました。2013年にはハリウッド映画『パシフィック・リム』で森マコの幼少期を演じ、2014年には『明日、ママがいない』で連続ドラマ初の単独主演を務めています。
この時期はドラマや映画だけでなく、劇場アニメ『マジック・ツリーハウス』の主人公アニー役で声の主演も経験しました。小学生のころ大ファンだったアニメ『ジュエルペット』から主題歌のオファーが届いたときはとても嬉しかったと語っていて、2012年の『映画ジュエルペット スウィーツダンスプリンセス』ではマーナ姫の声も担当しています。
学業を軸にした中高時代と役の幅の広がり
2017年、芦田さんは慶應義塾中等部に入学しました。ここから学校生活や勉強を生活の軸に置き、撮影現場や自分の体に無理がかからないペースで俳優の仕事を続けていきます。中学ではマンドリンクラブに入っていました。
2018年には、NHK連続テレビ小説『まんぷく』のナレーションを、朝ドラ史上最年少で担当します。2019年11月には「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」で、和装でお祝いの言葉を述べました。2020年からは大河ドラマ『麒麟がくる』で、のちの細川ガラシャとなる、たま役を演じています。
同じ2020年の主演映画『星の子』では林ちひろ役、2022年の主演映画『メタモルフォーゼの縁側』では佐山うらら役を演じ、この作品で2023年のエランドール賞新人賞を受けました。声の仕事も途切れず、『怪盗グルー』シリーズのアグネス役、劇場アニメ『海獣の子供』の琉花役、『映画 えんとつ町のプペル』のルビッチ役、『かがみの孤城』のオオカミさま役と、作品の幅は広がる一方でした。2023年に慶應義塾女子高等学校を卒業し、慶應義塾大学法学部政治学科へ進んでいます。
助演でも主演でも光る大人の俳優へ
大学に入った2023年、日本テレビの『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』で鵜久森叶役を演じ、ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演女優賞を受けました。子役のときの主演女優賞から12年、今度は助演での受賞です。2024年にはTBSの『さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜』で夏目響役を演じ、2025年の映画『俺ではない炎上』ではサクラ役で出演しています。
2024年12月公開の映画『はたらく細胞』では漆崎日胡役を演じ、第48回日本アカデミー賞の優秀助演女優賞に選ばれています。2025年8月には24時間テレビのドラマスペシャル『トットの欠落青春記』で主演を務め、黒柳徹子さんの役に挑みました。
同じ2025年には、細田守監督の劇場アニメ『果てしなきスカーレット』で主人公スカーレットの声を担当。この作品はベネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門に選ばれ、芦田さんは9月4日の公式上映で、初めて海外映画祭のレッドカーペットを歩きました。2026年に入ってからも、NHKのドラマ『片想い』で菅原優衣役に主演し、映画『ミステリー・アリーナ』で一子役を演じています。
年80冊の読書家で博士ちゃんの司会、芦田愛菜さんの素顔
芦田さんの素顔を語るうえで欠かせないのが読書です。小学生のころには年間60冊を超える本を読み、受験と仕事がいちばん忙しい時期を終えた直後は、1年で300冊近くを読んだこともあるそうです。いまは学業と仕事の合間に年80冊ほどを読んでいて、その時間が大切な息抜きになっているといいます。2023年には、読書推進活動への影響が評価され、第5回野間出版文化賞を受けました。
幼いころから一貫して好きなものとして、演技の仕事、読書、歴史や社会の勉強を挙げています。その知的好奇心は、2019年から司会を務めるテレビ朝日の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』でも存分に生きています。好きなことにまっすぐな子どもたちと、楽しそうに話す姿が印象に残る方も多いでしょう。
好きな食べ物には歌舞伎揚や都こんぶ、筑前煮、アジのから揚げを挙げていて、渋めの好みもほほえましいところです。高校時代からは「こはる」という名前の猫と暮らしています。2025年3月には国連開発計画(UNDP)の親善大使に就任し、活動の場は国内にとどまらなくなっています。
薬屋のひとりごとの猫猫へ続くこれから
2026年9月には、大きな発表がありました。日向夏さんの人気小説『薬屋のひとりごと』の実写ドラマで、芦田さんが主人公の猫猫を演じます。Amazon MGMスタジオと東宝の共同製作で、2028年からPrime Videoで240以上の国や地域に世界独占配信される予定です。監督はYuki Saitoさん、脚本は吉田恵里香さん。後宮の世界を再現した大規模なセットで、半年にわたって撮影が行われました。
芦田さんはもともと原作小説の大ファンだったそうで、大好きな作品に関わる緊張もありながら、猫猫と作品への愛をこめた撮影期間だったとふり返っています。原作者の日向夏さんも、芦田さんに決まったときに安心して任せられると感じたとコメントしました。
2026年10月19日に放送が始まった『南田南弁護士は天才肌』は、新しい役に向き合う芦田さんの姿が見られる作品です。人の目を見るのが苦手な南を演じるため、撮影中は共演者の表情をあまり見られなかったと明かしていて、役への向き合い方の深さが伝わってきます。5歳で資格の足りないオーディションに挑んだ少女は、学業を大切にしながら一作ずつ役を重ね、いまは世界に届く作品の主演を任されるようになりました。本と歴史を愛する芦田愛菜さんが次にどんな人物を生きるのか、これからも目が離せません。
写真: LucaFazPhoto / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commonsより)

コメント