今田美桜、天神でスカウトされた福岡の高校生が朝ドラ『あんぱん』主演と紅白司会へ

今田美桜さん、『あんぱん』のヒロインから紅白の司会へ

2025年は、今田美桜さんにとって忘れられない1年になりました。3月31日から9月26日まで放送されたNHK連続テレビ小説『あんぱん』で、主人公の朝田のぶを演じたのです。朝ドラの歴代最多となる3,365人が応募したオーディションから選ばれた主演でした。大みそかの第76回NHK紅白歌合戦では、綾瀬はるかさん、有吉弘行さん、鈴木奈穂子アナウンサーとともに、初めて司会をつとめています。

同じ年の9月には、34年ぶりに東京で開かれた世界陸上の大会アンバサダーをつとめました。11月にビデオリサーチが発表したランキングでは、2025年の年間CM露出タレントの1位にもなっています。

2026年も勢いは続きます。主演映画『白鳥とコウモリ』が9月に公開され、2026年10月からは日本テレビ系の水曜ドラマ『メリーベリーラブ』で、韓国の俳優チ・チャンウクさんとダブル主演をつとめました。けれど、ここに至るまでには、オーディションに落ち続けた日々と、両親と交わした22歳までという約束がありました。

桜の季節に生まれた福岡の女の子

今田美桜さんは1997年3月5日、福岡市中央区で生まれました。3人きょうだいの長女です。美桜という名前は本名で、3月の桜の季節に生まれたこと、そして桜のようにみんなに愛される人になるようにという願いからつけられました。1字はお母さんの名前からとっています。芸名を使わず本名で活動しているのは、この漢字が好きで、ほかの名前は考えられなかったからだそうです。

体を動かすのが好きな子どもでした。小学生のころはミニバスケット部に入り、中学時代は陸上部で走り幅跳びを専門にしていました。幼いころから10年近くピアノを習っていて、中学受験を機にいったん離れたものの、新型コロナウイルスの感染が広がって外出を控えていた時期に、再び弾き始めています。

高校時代には漢字検定の準2級にも合格しました。趣味に語学の勉強を挙げる、こつこつ型の一面も持っています。

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天神のゲームセンターで声をかけられた高校2年生

転機は高校2年生、16歳のときに訪れます。福岡市の天神にある新天町で、友達とプリクラを撮りにゲームセンターへ行ったところをスカウトされ、福岡のモデル事務所に所属しました。両親は学業を優先してほしいという考えでしたが、どうしてもオーディションを受けたくて頼みこみ、合格したマリノアシティ福岡のCMが初めてのCM出演になりました。

2015年、高校3年生で福岡ローカルの深夜番組『GeeBee』のレギュラーになります。出演者の中でいちばん年下でした。同じ年、NHK BSプレミアムのドラマ『私は父が嫌いです』でドラマに、映画『罪の余白』で映画に初めて出演しています。2016年2月には、福岡県柳川市の観光PR動画に、雛人形の三人官女をもとにした3人組ユニット、SAGEMON GIRLSのひとりとして登場しました。

ローカル番組では、苦い経験もしました。映画の宣伝に来た俳優にインタビューするリポーター役で緊張のあまりミスを重ね、現場の空気が重くなってしまったのです。そのとき冗談やツッコミで場をやわらげてくれたのが、ゲストの綾野剛さんでした。今田さんは何年もたって俳優として共演したとき、ようやくお礼とおわびを伝えられたと振り返っています。

小倉駅のポスターから始まった上京と、22歳までの約束

福岡で活動していた今田さんの運命を変えたのは、北九州市の小倉駅に貼られていた1枚のポスターでした。それを見た芸能事務所BIGFACE(現・コンテンツ・スリー)の社長が、19歳の今田さんをスカウトします。映画の仕事がしたい、女優になりたいという思いは強く、2016年8月末に上京しました。

ただ、大学に進まず女優を目指すことには、両親が強く反対していました。後押ししてくれたのは、高校の三者面談での担任の先生です。同世代が大学を卒業する22歳まで挑戦してみて、だめならもう一度考える。そんな条件で、両親の許しを得ました。

上京してすぐ、中川駿監督の自主制作短編映画『カランコエの花』で主演をつとめます。2017年には舞台『LIVE IMPACT 進撃の巨人』のサシャ・ブラウス役に選ばれましたが、事故のため公演は中止になりました。それでも同じ年、ドラマ『僕たちがやりました』や月9ドラマ『民衆の敵』にレギュラー出演し、映画『デメキン』で初めてヒロインを演じています。事務所の社長がつけた福岡で一番かわいい女の子というキャッチコピーは、本人がのちにハッタリだったと振り返っている言葉です。オーディションに受からない日々に支えになったのは、社長からもらった8勝7敗という言葉でした。7回負けても、大きな勝ちがひとつあればいい。今田さんはいまもこの言葉を座右の銘にしています。

真矢愛莉のツインテールでブレイク、今田美桜さんの名が全国へ

大きな勝ちは2018年にやってきます。TBSのドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』で、オーディションをへて小悪魔キャラクターの真矢愛莉役をつかみました。原作の再現度の高さとツインテールの髪型が話題になり、今田さんは21歳でブレイクを果たします。両親との22歳までという約束を、期限の前に果たしたことになります。

この年は勢いが止まりませんでした。7月に東京の映画館で公開された『カランコエの花』は、1週間限定の上映がすべて満席になります。10月に出したファースト写真集『生命力』はオリコンの写真集ランキングで初登場1位になり、重版を重ねました。月9ドラマ『SUITS/スーツ』にも出演し、年末にはYahoo!検索大賞2018の女優部門賞を受けています。

2019年は日本テレビのドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』で諏訪唯月を演じ、秋からは『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』の第6シリーズに新人看護師の大間正子役で出演しました。青森から出てきた看護師を演じるため、なじみのない津軽弁をすらすら話せるように練習したそうです。テレビに出始めたころは張り切りすぎて空回りしたこともあり、共演した中井貴一さんから自然体でいけばいいという助言をもらって、気負わずに現場に立てるようになったと話しています。

主演女優として役の幅を広げた日々

2020年には『半沢直樹』のスピンオフでヒロインの浜村瞳を演じ、本編の2020年版にも出演しました。2021年はNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で気象予報士の神野マリアンナ莉子を演じて朝ドラに初出演し、映画『東京リベンジャーズ』ではヒロインの橘日向を演じて日本アカデミー賞の新人俳優賞を受けています。

2022年、日本テレビのドラマ『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』で、テレビドラマに初主演します。役は、大手企業でさまざまな部署に異動していく新入社員の田中麻理鈴。明るく前向きなヒロインを嫌みなく演じたと評価され、ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞を受けました。衣装のマフラーを手編みしたスタイリストに刺激されて編み物を始め、最終話に出てくる大きなベッドカバーは今田さんが編んだものだったそうです。

2023年の映画『わたしの幸せな結婚』ではヒロインの斎森美世を演じ、劇中の組紐も自宅で編みました。同じ年には『ラストマン-全盲の捜査官-』の吾妻ゆうき、『トリリオンゲーム』の黒龍キリカ、そして『いちばんすきな花』で主演の深雪夜々を演じています。2024年には『花咲舞が黙ってない』の第3シリーズで、主人公の花咲舞を演じました。

朝ドラ『あんぱん』、そして2026年のいま

『あんぱん』は、アンパンマンを生んだやなせたかしさんと妻の小松暢さんをモデルにした物語です。今田さんは暢さんをモデルにした朝田のぶを、北村匠海さんはやなせさんをモデルにした柳井嵩を演じました。脚本は中園ミホさんです。何者でもなかった2人がアンパンマンにたどり着くまでを、半年かけて演じきりました。この役で今田さんはザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞と、橋田賞を受けています。

放送を終えたあとも、仕事は続きました。12月には『映画ラストマン -FIRST LOVE-』が公開され、2026年1月にはNHK-FMのオーディオドラマ『あんぱん』スピンオフ「さいごのうた」にも出演しています。7月からはテレビ朝日の『クロスロード 〜救命救急の約束〜』で主演の春木遥を演じました。

9月に公開された映画『白鳥とコウモリ』は、東野圭吾さんの小説が原作で、監督は岸善幸さんです。今田さんは松村北斗さんとダブル主演をつとめ、事件の被害者の娘・白石美令を演じています。10月7日に始まった『メリーベリーラブ』は、日本テレビと韓国のCJ ENMが初めて手を組んだ作品です。日本の島を舞台にした恋愛コメディで、今田さんはイチゴ栽培に打ちこむ白浜夏凛を演じました。放送と同じ10月7日には、Disney+での世界配信も始まりました。

今田美桜さんの素顔とこれから

仕事を離れた今田さんは、食べることが大好きです。好きな食べ物は牛タンで、焼肉店で牛タンしか食べない日もあるほど。福岡の料理では味噌味のもつ鍋がいちばんで、お酒はビールと日本酒の辛口派だそうです。けん玉にはまっていた時期もありました。特技は博多弁の早口言葉と、人よりまぶたがよく動くことだそうです。2022年に開いたファンクラブでは、ファンの呼び名を募り、名前の美桜から桜に集まる鳥のメジロを連想して、メジ郎と名づけました。

尊敬している女優は満島ひかりさん。岡崎紗絵さんや杉咲花さんとは、共演をきっかけにプライベートでも仲の良い友人になりました。福岡時代に同じ事務所にいた奈緒さんは恩人で、上京したばかりのころは家に泊めてもらい、料理をふるまってもらったこともあるそうです。2022年には博多あまおう大使にも任命されていて、イチゴとの縁は『メリーベリーラブ』にもつながっています。

2026年10月25日には、オフィシャルサイトとファンクラブ「イマノミオ」を2027年3月末で終えると発表しました。30歳を前にした新しいスタートとしての決断だといいます。8勝7敗の言葉を胸に福岡から出てきた今田さんは、いま次の章へと歩き出そうとしています。

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