1700人超から鈴芽役に選ばれた原菜乃華さん、子役から『もうパパ!』主演まで

原菜乃華 女性芸能人
写真: Elena Ternovaja / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)
原菜乃華の写真

原菜乃華さんの名前は、小豆島の菜の花畑から

小学生のころに「怒りんぼ紀子ちゃん」として話題になり、大学生になっても父に本音を言えずにいる娘、多良山紀子。2026年10月4日に始まったABCテレビ・テレビ朝日系のドラマ『もうパパ!』で、原菜乃華さんが主演として演じた役です。ゴールデン・プライム帯の連続ドラマでは、これが初めての主演でした。父親役は堤真一さんです。

最近になって知った人には、新しく出てきた俳優に見えるかもしれません。ところが原さんのキャリアは2009年に始まっています。子役としてたくさんの作品に出て、仕事が途絶えた時期を通り、1700人を超えるオーディションから映画の主人公に選ばれました。

原菜乃華さんは2003年8月26日、東京都に生まれました。「菜乃華」という名前は、曾祖母が住んでいた小豆島の菜の花畑に由来しています。一面の黄色が目に浮かぶ、春らしい名前です。ここからは、その歩みを作品名と役名でたどっていきます。

2009年のオーディション合格から、少女時代の役を重ねた子役のころ

俳優の道に入ったのは2009年です。J-beansネットスカウトオーディションに合格し、同じ事務所に所属しました。その年の10月には、TBSの『浅見光彦シリーズ』で克子の少女期を演じ、『侍戦隊シンケンジャー』第34幕にも出ています。翌2010年にはテレビ朝日『タクシードライバーの推理日誌26』で町川恵美子を演じました。日本タレント名鑑にはこの作品がデビュー作と載っていますが、放送は『浅見光彦シリーズ』のほうが先でした。

CMにも早くから出ています。日本マクドナルドのハッピーセット、IKEA、バンダイの『スイートプリキュア♪』のおもちゃなどです。テレビ東京の『ピラメキーノ』シリーズにも出演しました。

2014年に研音へ移ると、『ビンタ!〜弁護士事務員ミノワが愛で解決します〜』で箕輪カナを演じます。ほかにも『サイレーン』の猪熊夕貴の少女時代、『朝が来る』の片倉ひかりの中学時代、映画『3月のライオン』の幸田香子の少女時代と、登場人物の若いころを演じる役が続きました。2015年には舞台『まっ透明なAsoべんきょ〜』でキノコを演じ、舞台にも初めて立っています。2016年4月からは『おはスタ』のおはガールも務めました。

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2本の主演映画のあとに仕事が途絶え、アニメと出会う

2016年、最初の大きな波が来ます。2011年に作られた短編映画『Lieland』が2016年7月に公開され、アリス役で映画初主演を果たしました。翌2017年には『はらはらなのか。』で原ナノカを演じ、2年続けて主演映画が公開されます。『週刊プレイボーイ』2017年1月23日号では、その年に注目の8人を集めた「スゴカワ2017」にも選ばれました。

ところが、そのあとで仕事が途絶えてしまいます。原さん本人が語っているところでは、それまで現実を忘れさせてくれたドラマや映画が、つらいことを思い出すきっかけになり、観られなくなった時期があったそうです。代わりに見るようになったのがアニメでした。のちに声の仕事へつながる世界と、ここで深く出会っています。

2018年3月31日には、研音Next Generationの終了により、いったん事務所を離れました。フリーの期間に出演したのが映画『無限ファンデーション』で、演じたのはナノカです。そして同じ2018年のうちに、トライストーン・エンタテイメントへ移りました。子役のころから積み上げてきた道を、ここでもう一度つなぎ直したことになります。

原菜乃華さんの転機は『すずめの戸締まり』、1700人超から選ばれた岩戸鈴芽役

移籍のあとは、作品の幅が一気に広がります。2020年の映画『罪の声』で生島望を、ドラマ『MIU404』第7話でスゥを演じました。2021年には『ナイト・ドクター』の深澤心美、『真犯人フラグ』の相良光莉を、2022年には『ナンバMG5』の難破吟子を担当しています。同じ2022年9月には、映画『ヘルドッグス』で間宮比呂美も演じました。

大きな転機は、2022年11月11日公開のアニメーション映画『すずめの戸締まり』です。新海誠監督の作品で、主人公の岩戸鈴芽を決めるオーディションには1700人を超える人が参加しました。そこから選ばれたのが、声優に初めて挑戦する原さんでした。ドラマや映画の代わりにアニメを見ていた時期のある人が、アニメ映画の真ん中に立ったことになります。

この演技で、第18回声優アワードの新人声優賞を受賞しました。2024年度のACジャパンの支援キャンペーンでは、あしなが育英会の「がんばれ、全国のすずめたち。」にも出演しています。2023年にはNHK-FMのラジオドラマ『いつかの宝石たち』で主演の小松香織を演じ、声の仕事の場も増やしました。

千姫、狩集汐路、有馬かな、原菜乃華さんを広く知らせた3つの役

2023年は役の種類がぐっと増えた年です。NHK大河ドラマ『どうする家康』では、第44回から最終回まで千姫を演じました。時代劇も大河ドラマも、これが初めてです。9月30日にはテレビ東京のドラマ25『こむぎの満腹記』で橘こむぎを演じ、テレビドラマに初めて主演しました。10月30日にはファースト写真集『はなのいろ』をKADOKAWAから出しています。

映画では、2023年9月公開の『ミステリと言う勿れ』がとても大きな作品になりました。オーディションをへてヒロインの狩集汐路を演じ、2024年3月の第47回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞しています。声優アワードと合わせて、声と実写の両方で新人賞を手にしたことになります。

2024年は、宮世琉弥さんとダブル主演の映画『恋わずらいのエリー』で市村恵莉子を演じました。11月から12月にはAmazon Prime Videoのドラマ『【推しの子】』が配信され、12月20日には映画『【推しの子】-The Final Act-』が公開されます。原さんが演じたのは有馬かなです。年末の『ミュージックステーションスーパーライブ 2024』には、劇中のアイドルグループB小町のメンバーとして出演しました。

『あんぱん』のメイコ役で広がった2025年

2025年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』で、原さんは朝ドラに初めて出演しました。ヒロインのオーディションに参加した結果、選ばれたのがヒロインの妹、朝田メイコ(のちの辛島メイコ)です。出演は第11回から第129回までと長く、放送後の特別編「メイコの初舞台」では主演も務めました。

この役は音楽番組にも広がります。2025年8月9日の『MUSIC GIFT 2025』では、メイコが劇中で歌った「東京ブギウギ」を、共演者の大森元貴さんと生歌唱のデュエットで披露しました。その年の大みそかには『第76回NHK紅白歌合戦』の「あんぱん 紅白特別編&スペシャルステージ」に、辛島メイコとして出演しています。

同じ2025年は、映画も重なりました。6月公開の主演映画『見える子ちゃん』で四谷みこを、7月公開の『ババンババンバンバンパイア』で篠塚葵を演じています。8月公開のアニメーション映画『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』では主人公の安曇野りせの声を担当しました。ドラマでは日本テレビ『ちはやふる-めぐり-』で月浦凪を演じています。7月4日には、ORICON NEWSの「2025年 上半期ブレイク俳優ランキング(女性編)」で1位を獲得しました。

『もうパパ!』で初めてのゴールデン・プライム帯主演、堤真一さんと親子に

2026年に入ると、活動はさらに広がります。1月7日にオフィシャルファンクラブを開き、1月10日には『原菜乃華のオールナイトニッポン0』を担当しました。4月から6月にはテレビ東京のドラマ『るなしい』で主演の郷田るなを演じています。7月公開のアニメーション映画『君と花火と約束と』では葉山煌の声を、9月公開の映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』では初海幸来を演じました。

そして10月4日、日曜22時15分の枠で『もうパパ!』が始まりました。脚本は『虎に翼』の吉田恵里香さんで、完全オリジナルの物語です。堤真一さんが演じる父の良詫は、小学生の紀子の怒る姿を投稿して話題になって以来、「家族の幸せな日常」を配信し続けています。その娘、紀子を演じるのが原さんです。共演には岩瀬洋志さん、林芽亜里さん、星乃夢奈さん、円井わんさんらが並びます。

同じ10月には、仕事がもう二つ加わりました。10月2日には初めての冠ラジオレギュラー番組『CANMAKE presents 原菜乃華 なのラジ』がニッポン放送で始まり、メインパーソナリティを務めています。10月22日からはテレビ朝日のドラマ『アナログナース〜デジタルってなんなんだよ!?〜』で若松実来を演じました。

カイロ22枚にサメ、アニメ好きの素顔とこれから

仕事の外の顔は親しみやすいものです。和菓子が大好物で、とくにあんこと干し芋を挙げています。皮の薄い餃子やトマトも好きで、小麦料理をこよなく愛しているそうです。2023年から出演した丸亀製麺のCMも、なんだかうなずけます。好きな生き物はサメで、特技は水泳です。とんでもない寒がりで、冬の撮影では全身にカイロを貼り、最高記録は22枚だと明かしました。

アニメへの愛は相当なものです。休日はずっと家でアニメを観ていると話し、高校時代から好きなキャラクターのアクリルスタンドを集めています。『進撃の巨人』の大ファンで、憧れの声優には戸松遥さんを挙げ、『いつかの宝石たち』で共演した際には、対談で自分の思いを伝えました。音楽ではMrs. GREEN APPLEの大ファンで、とくに「ゼンマイ」が好きだそうです。

性格については、考えてから動かないと不安になるタイプで、ネガティブで心配性なところは短所でも長所でもあると分析しています。2025年6月のインタビューでは、いい意味で肩の力を抜いて楽しめるようになってきたと話しています。

次の作品は、作間龍斗さんとダブル主演を務める2026年11月20日公開予定の映画『ないものねだりの君に光の花束を』で、役は染矢影子です。子役のころから続く長い道の先で、原菜乃華さんが次にどんな役と出会うのか、楽しみに待ちたいと思います。

写真: Elena Ternovaja / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commonsより)

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