上白石萌音、メキシコ育ちの東宝シンデレラが火曜ドラマ『いろはの恋は時代をかける』で一人二役

上白石萌音さんが2026年の火曜ドラマで挑んだ実写初の一人二役

2026年10月13日、TBSの火曜ドラマ『いろはの恋は時代(とき)をかける』が始まりました。主演の上白石萌音さんが演じるのは、渋谷の小学校に着任した令和の教師・梨木彩葉と、江戸時代中期を生きる飛脚屋の一人娘・いろはの二人。算学が好きで、子どもに学問を教える仕事にひそかに憧れていたいろはの魂が、令和の教師の体に入りこむ、300年を越えたロマンティックコメディです。上白石さんにとっては、実写で初めての一人二役になります。

脚本は、NHK連続テレビ小説『らんまん』などで知られる長田育恵さん。同僚の教師・一ノ瀬生琉をSnow Manの向井康二さんが演じます。上白石さんの火曜ドラマ主演は、2021年の『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』以来、約5年ぶりです。出演発表のコメントでは、作品を学校に留まらない人の営みの物語だと語り、「先生方への感謝と尊敬を込めてお届けします。」と結んでいました。

朝ドラのヒロイン、声優、歌手、舞台女優と、いくつもの顔を持つ上白石さん。その出発点は、中学1年生で受けたひとつのオーディションでした。

鹿児島で育ち、メキシコで過ごした3年間

上白石さんは1998年1月27日、鹿児島県で生まれました。幼いころを串木野市(現在のいちき串木野市)で過ごし、小学1年生のときに鹿児島市へ移っています。「萌音」という名前には「音が芽吹く」という意味があり、音楽を好きになってほしいという願いがこめられているそうです。妹は女優で歌手の上白石萌歌さんです。

小学3年生からの3年間は、父親の仕事の都合でメキシコに住み、日本人学校に通いました。8歳にしてスペイン語と英語も話すトリリンガルだったといいます。街中に歌や踊りがあふれる国で、音楽やエンタテインメントの魅力をあらためて感じ、人と話すことや人との関係を築くことが好きになったと語っています。

音楽との縁は、それより前から始まっていました。ピアノ指導者の母親のもとで3歳からピアノを習い、ミュージカルやクラシックバレエのレッスンにも通っていました。言葉を覚えるのが早く、2歳になる前には歌も歌い始めていたそうです。

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東宝シンデレラから『舞妓はレディ』の主演へ

帰国後の2011年、中学1年生だった上白石さんは、通っていたミュージカルスクールの先生のすすめで第7回「東宝『シンデレラ』オーディション」を受け、審査員特別賞を受賞して東宝芸能に入りました。この年に起きた東日本大震災で影響を受けた人たちのために、オーディションの賞金を寄付しています。同じオーディションからは、浜辺美波さんと山崎紘菜さんも芸能界に入りました。

中学時代は週末に鹿児島から東京へ通いながら仕事をこなしました。2011年11月には大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』の最終回で徳川和子役を演じてドラマデビュー。2012年にはミュージカル『王様と私』で初めての商業公演に立ち、同じ年に公開された長編アニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』で声優にも初挑戦しています。高校進学をきっかけに上京しました。

大きな転機は2014年の映画『舞妓はレディ』です。800名を超えるオーディション参加者の中から選ばれ、主人公・西郷春子役で映画初主演を果たしました。演技力と歌唱力が高く評価され、第38回日本アカデミー賞の新人俳優賞などを受賞。同じ年には舞台『みえない雲』で舞台初主演、翌2015年にはミュージカル『赤毛のアン』でアン・シャーリー役を務めました。

『君の名は。』の三葉と歌手デビュー

2016年は、上白石さんの名前が一気に広まった年です。映画『ちはやふる』の上の句・下の句で大江奏役を演じ、映画『溺れるナイフ』では松永カナ役に出演。そして劇場アニメ『君の名は。』で、主人公・宮水三葉の声を担当しました。社会現象となったこの作品で、第11回声優アワードの主演女優賞を受けています。

歌手としての一歩も、この作品から生まれました。2016年9月の大ヒット御礼舞台挨拶にサプライズで登場した野田洋次郎さんに突然すすめられ、野田さんのギター伴奏で「なんでもないや(movie ver.)」を観客の前で初めて歌ったのです。その歌声が話題になり、同年10月5日、この曲などを収めたカバーミニアルバム『chouchou』で歌手デビューを果たしました。

声の評価が高まったことで、ナレーションの仕事も増えていきます。2017年4月には初のレギュラーとなるテレビ東京の『風景の足跡』が始まり、同じ年の1月には『ホクサイと飯さえあれば』で山田文子役を演じて、連続ドラマ初主演も果たしました。2016年には一般受験で明治大学にも合格しています。

恋つづと朝ドラで上白石萌音さんは全国区に

2020年1月に始まったTBSの『恋はつづくよどこまでも』で、上白石さんはゴールデン・プライム帯の連続ドラマに初主演します。演じたのは、主人公の佐倉七瀬。ドラマは社会現象となり、ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞、エランドール賞新人賞、橋田賞新人賞、Yahoo!検索大賞の女優部門賞などを次々に受賞しました。同じ年の年末には、NHKのドラマ『ホーム・スイート東京』で全編英語の作品にも初めて挑んでいます。

2021年にはTBSの『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』で鈴木奈未役に主演。さらに同年度後半のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で、3,061人の応募者の中から選ばれ、橘(雉真)安子役を演じました。深津絵里さん、川栄李奈さんとのトリプル主演で、朝ドラ初出演にして初主演です。同じ2021年には大河ドラマ『青天を衝け』で篤君(天璋院)役も演じました。

音楽では、2020年8月に初のオリジナルフルアルバム『note』を発売し、2021年7月からは全国ツアー“yattokosa”を毎年開いています。2021年の大みそかには第72回NHK紅白歌合戦に初めて出場し、「夜明けをくちずさめたら」を歌いました。2023年1月には初の武道館ライブも開いています。俳優と歌手の両方で、立つ場所がどんどん大きくなっていった時期です。

舞台と映画で深めた表現、ロンドンの大劇場へ

もともとミュージカルを習っていた上白石さんにとって、舞台は原点のような場所です。2022年に初演された舞台『千と千尋の神隠し』で千尋役、ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』でジルーシャ・アボット役を演じ、2023年に第30回読売演劇大賞の最優秀女優賞を史上最年少で受賞しました。演出家のジョン・ケアードさんの作品には何度も出演していて、2023年にはミュージカル『ジェーン・エア』でジェーン・エアとヘレン・バーンズを役替わりで演じました。

2024年4月から8月には、『千と千尋の神隠し』でロンドンのウエストエンド最大規模の劇場、ロンドン・コロシアムに立ちました。初の海外公演で、全135公演のうち67公演を担当しています。2026年には、この2作品の演技で第51回菊田一夫演劇賞を受けました。

映画では、2024年の『夜明けのすべて』で松村北斗さんとW主演し、藤沢美紗役を演じました。この作品でベルリン国際映画祭に初参加し、第48回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞も受賞。日本アカデミー賞の壇上に立つのは、新人俳優賞以来10年ぶりでした。2025年にはテレビ東京の『法廷のドラゴン』で天童竜美役に主演し、日本テレビの『ちはやふる-めぐり-』では大江奏役を再び演じています。

本と言葉を愛する上白石萌音さんの素顔

公式プロフィールに書かれた趣味は、読書、音楽を聴くこと、歌うこと、踊ること。好きな小説家には宮下奈都さん、伊坂幸太郎さん、瀬尾まいこさん、原田マハさんの名前を挙げていて、原田さんの小説をきっかけに美術鑑賞も趣味になったそうです。

文章を書く仕事もしています。2021年に出した初めてのエッセイ本『いろいろ』は累計7万部を超え、台湾版も出版されました。2022年には、連載をまとめた翻訳本『翻訳書簡『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅』も出しています。語学が好きで、芸能界に入っていなければホテルマンか翻訳の仕事をしたかったといい、英検2級とスペイン語技能検定6級の資格も持っています。大学は明治大学の国際日本学部に進み、2024年3月、8年がかりで卒業しました。

役作りでは、物語の舞台や役にゆかりのある場所を訪ねるそうです。台本には、演じる役の子が使っていそうな筆記用具を選んで自分のセリフに印をつけていくといいます。仕事を離れると料理を作るのが好きで、レコーディングではいつも裸足で歌うのだとか。お笑いが好きで、東京03の大ファンだと公言しています。2020年12月からは、TBSの『世界くらべてみたら』でレギュラーMCも務めています。

歌手デビュー10周年と、その先に待つ舞台

2026年は、歌手デビュー10周年の年でもあります。2月にはアルバム『texte』を発売し、9月20日と21日には地元・鹿児島の鹿児島アリーナで10周年記念ライブ『Mone Kamishiraishi 10th Live《bouquet》』を開きました。10月3日と4日には、横浜赤レンガパークの野外特設ステージで、初めて自分で主催する野外フェス『Mone Kamishiraishi 10th Live《bouquet》for ALL』も開いています。2027年4月に開校する鹿児島市立桜島学校の校歌の作詞を担当することも発表されています。

5年ぶり2冊目のエッセイ集『そもそも』(NHK出版)の発売日は、2026年11月10日です。2026年12月からは舞台『千と千尋の神隠し』の2026-2028ワールドツアーが始まり、ミュージカル『ミー&マイガール』ではサリー・スミス役での出演が発表されています。2027年の大河ドラマ『逆賊の幕臣』ではみち役、2027年公開の映画『モネ 時の海を渡った絵』では杉山華子役での出演も決まっています。

メキシコで音楽と人とのつながりの楽しさを知った少女は、映像と舞台と音楽をまたいで、世界の大劇場に立つまでになりました。火曜ドラマでいろはと彩葉の二人を生きた上白石萌音さんが、次にどんな顔を見せてくれるのか楽しみです。

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