
杉咲花さんの出発点は、梶浦花という名前の子役時代
回鍋肉を食べるCMの女の子として、杉咲花さんを覚えている方は多いかもしれません。その女の子は、のちに映画『市子』で第78回毎日映画コンクールの女優主演賞を受け、ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』では脳外科医の川内ミヤビを演じて主演女優賞を受ける俳優になりました。
杉咲花さんは1997年10月2日生まれ、東京都の出身です。子役のころは別の名前で活動していました。「梶浦花」という芸名で、スターダストプロモーション芸能4部に所属していたんです。
2004年にはFAKE?の「JUST LIKE BILLY」のPVに出演しました。2006年には池田銀行、バンダイの「ふたりはプリキュア」、ナショナルの冷蔵庫、ケンタッキーのCMに、2007年にはSONYのBRAVIAのCMに出ています。2007年公開の映画『吉祥天女』では、麻井由似子の幼少時代を演じています。同じ2007年から2008年にかけては、フジテレビの『まるまるちびまる子ちゃん』で城ヶ崎姫子を演じました。あの人気キャラクターを、小学生のころに実写で演じていたことになります。
憧れの志田未来さんを追って、研音のオーディションへ
杉咲花さんはもともと芸能界に興味を持っていました。中学生になると、女優になりたいとあらためて思うようになります。そこで応募したのが、研音のオーディションでした。憧れていた志田未来さんが所属していた事務所です。
2011年4月、杉咲花さんは研音に所属します。これにあわせて、芸名も「杉咲花」に変わりました。この名前は本人も気に入っているそうです。
新しい名前でのドラマ初出演は2011年8月に日本テレビで放送された『ドン★キホーテ』の第7話で、高沢里奈を演じました。そこからの動きは速く、同じ年のうちにTBSの『桜蘭高校ホスト部』で伽名月麗子を、日本テレビの『妖怪人間ベム』で夏目優以を演じています。
この2作は映画にもなり、2012年の『映画 桜蘭高校ホスト部』と『映画 妖怪人間ベム』でも同じ役を演じました。研音に入って2年足らずのうちに、連続ドラマとその映画版の両方を経験したことになります。
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Cook Doの回鍋肉で話題に、役を重ねた10代の杉咲花さん
杉咲花さんの顔と名前を広く知らせたのは、味の素「Cook Do」のCMでした。山口智充さんと共演し、回鍋肉を食べる美少女として話題になります。このCMへの出演は2011年から2017年まで続きました。あまりの印象の強さに大食いと誤解されることもあったそうですが、本人はこれを否定しています。
ドラマの役も増えていきます。2012年は『家族のうた』の大澤こころ、『黒の女教師』の野間薫。2013年は『夜行観覧車』の遠藤彩花。2014年は『緊急取調室』の真壁奈央、『なぞの転校生』のアスカ、『MOZU』の大杉めぐみ。2015年は『学校のカイダン』の香田美森です。同じ2015年には、TBSの『戦後70年 千の証言スペシャル「私の街も戦場だった」』と、テレビ朝日の『化石の微笑み』で主演も務めました。
声の仕事も始まりました。2014年公開の劇場アニメ『思い出のマーニー』では、彩香の声を担当しています。同じ2014年には、『日経トレンディ』が主催する「2015年の顔」にも選ばれました。CMで知られた女の子が、ドラマ、映画、アニメと活動の幅を広げていった時期です。
『トイレのピエタ』と『湯を沸かすほどの熱い愛』が開いた道
映画の世界で評価が形になったのは、2015年です。『トイレのピエタ』でヒロインの宮田真衣を演じ、『愛を積むひと』で上田紗英を、『繕い裁つ人』でゆきを演じました。この年度に第7回TAMA映画賞の最優秀新進女優賞と、第37回ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を受けています。
2016年にはNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で、ヒロインの妹の美子を演じました。同じ年には映画『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』で、木村文乃さんとのWヒロインとして秋山亜美を演じました。さらに映画『湯を沸かすほどの熱い愛』では、銭湯を営む一家の娘、幸野安澄を演じます。
この役で受けた賞は数多くあります。第40回日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞と新人俳優賞、第41回報知映画賞、第59回ブルーリボン賞、第90回キネマ旬報ベスト・テンの助演女優賞などです。
母親役は、杉咲花さんが憧れの人に挙げている宮沢りえさんでした。第26回日本映画批評家大賞の授賞式では、宮沢りえさんへの感謝を「本当に救ってもらった」という言葉で伝えています。翌年度にはエランドール賞の新人賞も受けました。
連ドラ初主演から『おちょやん』へ、3度のオーディションの先に
2018年、杉咲花さんは主演の道に進みます。TBSの『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』で江戸川音を演じ、これが連続ドラマ初主演でした。トレードマークだったロングヘアは、この役のために30cmほど切っています。同じ年の10月には『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の川奈つぐみ役で、映画でも初主演を果たしました。
作品の幅も広がります。2017年の『無限の住人』では浅野凜と町の2役を、2018年の『BLEACH 死神代行篇』では朽木ルキアを演じ、ジャパンアクションアワードのベストアクション女優賞優秀賞を2年続けて受けました。2017年の劇場アニメ『メアリと魔女の花』では、主人公メアリの声を担当しています。2019年は『ハケン占い師アタル』で的場中を演じて主演を務め、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』で大河ドラマに初めて出演しました。
そして2020年度後期のNHK連続テレビ小説『おちょやん』で、浪花千栄子さんをモデルにしたヒロイン、竹井千代を演じます。この役はオーディションではなく、直接のオファーで決まりました。杉咲花さんはのちに、ヒロインオーディションを3度受けていたことを明らかにしています。2020年には第71回NHK紅白歌合戦のゲスト審査員も務めました。
『市子』と『アンメット』で主演女優賞を重ねた杉咲花さん
2021年の『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』では赤座ユキコを、2022年の『プリズム』では前島皐月を演じ、どちらも主演を務めました。第30回橋田賞の新人賞は、『おちょやん』と『恋です!』の演技に贈られています。
2023年公開の映画『市子』で、杉咲花さんは主人公の川辺市子を演じました。戸田彬弘監督が主宰する劇団の舞台をもとにした作品です。撮影の日々について、MOVIE WALKER PRESSの取材では「精根尽き果てるまで心血を注いだことを忘れられません」と語っています。役との向き合い方については「言葉にできないけれど、とにかく心が突き動かされる状態」とも話しました。この役で第78回毎日映画コンクールの女優主演賞、第47回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞を受けました。
2024年は映画『52ヘルツのクジラたち』で三島貴瑚を、『朽ちないサクラ』で森口泉を演じ、第46回ヨコハマ映画祭の主演女優賞は『市子』とこの2作をあわせて受けました。
ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』では川内ミヤビを演じます。第28回日刊スポーツ・ドラマグランプリと第120回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で、主演女優賞に選ばれました。続く『海に眠るダイヤモンド』では朝子を演じ、東京ドラマアウォード2025で助演女優賞を受けています。この2作の演技で第62回ギャラクシー賞の個人賞も受けました。
将棋に写真にHANA、仕事の外で見せる素顔
杉咲花さんの特技は乗馬と書道です。憧れの人には、木村拓哉さんと宮沢りえさんを挙げています。2019年12月放送の『有田P おもてなす』では、将棋にはまっていることが紹介されました。
趣味は写真を撮ることです。親交の深い土屋太鳳さんの日めくりカレンダーでは、撮影を担当しました。2018年にはファースト写真集『ユートピア』も出していますが、撮られるだけでなく、撮る側にも回っているんです。
2018年には念願だった初のレギュラーラジオパーソナリティも務めました。TOKYO FMの『杉咲花のFlower TOKYO』です。初回の放送には、600通以上のメッセージが届きました。聞く側としては、松居大悟さんがナビゲーターを務めるJ-WAVEの『JUMP OVER』のリスナーでもあります。
2025年には「最近の推し」を聞かれ、ガールズグループのHANAを挙げました。人生で初めてファンクラブに入ったそうです。自分の名前も「花(HANA)」であることに、運命を感じたと話しています。
2026年の杉咲花さん、広がり続ける出演作
2025年の杉咲花さんは、主演映画が続きました。4月公開の『片思い世界』では、広瀬すずさん、清原果耶さんとともに主演を務め、片石優花を演じています。10月公開の『ミーツ・ザ・ワールド』では主演で由嘉里を演じました。
12月公開の『劇場版「緊急取調室 THE FINAL」』では、真壁奈央を演じています。2014年のドラマで演じた役を、10年以上たって映画でも演じたことになります。
2026年は1月から3月にかけて日本テレビの『冬のなんかさ、春のなんかね』に主演し、土田文菜を演じました。6月にはAmazon Prime Videoの配信ドラマ『クロエマ』で、多部未華子さんとW主演を務め、エマを演じています。9月に配信されたNetflixの『ダウンタイム』の第6話では、文房具店の店員を演じました。
CMでは、サントリーの「クラフトボス」、敷島製パンの「超熟」、2026年に始まった大和ハウス工業の「D-ROOM」などに出演しています。やってみたいジャンルを聞かれて、大人のラブストーリーを挙げたこともある杉咲花さん。次にどんな役で名前を見るのか、作品の発表を待ちたくなります。
写真: Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan / CC BY 2.0 (Wikimedia Commonsより)


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