馬場徹、サッカー少年からつかこうへい最後の愛弟子へ『VIVANT』ゴビ役までの歩み

ドラマ『VIVANT』でゴビ・ホゥラン役を演じた馬場徹さんは、小学生のころまでサッカー選手を目指していました。俳優の道に進んでから長く力を注いだのは、舞台です。劇作家のつかこうへいさんの作品に出たいと自分から門を叩き、つかこうへいさんの最後の愛弟子と呼ばれるようになりました。地上波の連続ドラマに本格的に出るようになったのは2014年で、そこから話題のドラマへの出演が続きます。サッカー少年がここまで来た道のりを、作品名と役名で順に見ていきます。

馬場徹さんの生い立ち、3歳で始めたサッカーと映画の時間

馬場徹さんは1988年6月17日、東京都で生まれました。サッカーを始めたのは3歳のときです。三菱養和に所属してプレーを続け、目標はサッカー選手になることでした。

ところが小学4年生のとき、その目標をあきらめることになります。サッカーから離れた時期に増えたのが、自宅で映画を観る時間でした。そうして映画にふれるうちに、馬場徹さんは俳優を目指すようになります。小学生のうちに、自分の進む先を選び直したことになります。

サッカーとの縁が切れたわけではありません。特技にはサッカーを挙げていて、卓球、バスケットボール、野球も並びます。のちに『ルーズヴェルト・ゲーム』で演じたのは、野球部の投手でした。

小学6年生で劇団ひまわりへ、大河ドラマの高倉天皇役まで

小学6年生のとき、馬場徹さんは劇団ひまわりに入りました。仕事は中学生のころから少しずつ入るようになります。出演の記録をたどると、2002年にエポック社の「K.O.しようぜ! エキサイトボクシング」のCMがあります。2003年には映画『3on3』でリーバース役を、テレビ朝日の土曜ワイド劇場『鉄道捜査官3』で多田雄一役を演じました。

2004年にはTBSの『オレンジデイズ』第8話に、矢嶋啓太の弟役で出ています。2005年はNHKの大河ドラマ『義経』の第10回と第11回で高倉天皇役を務めました。同じ2005年にはアサヒ飲料の三ツ矢 爽レモンサイダーと、ニベア花王の8×4のCMにも出ています。

映画では2005年の『青空のゆくえ』で増田亮平役を、2006年の『夜のピクニック』で春山役を演じました。このころのドラマの仕事は、1話か2話だけの出演が中心です。名前が大きく広まるのは、もう少し先のことでした。

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『テニスの王子様』とPureBOYS、舞台に立ち始めたころ

初めて舞台に立ったのは2006年です。作品は『ミュージカル テニスの王子様』で、馬場徹さんは柳生比呂士役を2010年まで演じました。公演は日本青年館をはじめ各地で続き、2008年と2010年のDream Liveでは横浜アリーナにも立っています。

2007年6月には若手俳優ユニットPureBOYSの結成メンバーになりました。3枚のシングルと3回の公演に参加しています。公演は2007年10月の『7Cheers!』、2008年8月の『7Dummy’s Blues.』、2009年6月の『7Color Candles』です。この2009年6月の公演をもって、崎本大海さんとともにユニットを卒業しました。

同じ時期にはほかの舞台や映画にも出ています。ミュージカル『銀河鉄道の夜』ではカムパネルラ役を、シアタークリエのミュージカル『スーザンを探して』ではティナ役を演じました。映画『カフェ代官山』のシリーズには3作続けて出演し、1作目は石川楽役、2作目は石川達也役、3作目の2009年は石川楽と湊川恭歌の二役です。テレビアニメ『きらりん☆レボリューション』では、クラウディの声も担当しました。

つかこうへいさんの舞台に立った2010年、最後の愛弟子と呼ばれるまで

馬場徹さんの歩みが大きく動いたのは、2010年の舞台『飛龍伝2010 ラストプリンセス』です。つかこうへいさんの作品に出たいと自分から門を叩き、オーディションに臨みました。そこで受けたのが、台詞の口立てです。口立てとは、演出家がその場で口にした台詞を役者が受け取って演じていく稽古のやり方です。馬場徹さんはこのオーディションで起用され、新橋演舞場などの舞台に立ちました。

つかこうへいさんが稽古場で最後に口立ての稽古をした相手が、馬場徹さんでした。つかこうへいさんは、できる役者だと認める言葉を残したと伝えられています。馬場徹さんは、芝居をするのではなく目の前にいる人に思いを伝えればいいと教えられ、その言葉が心に残っていると2014年の取材で話しました。

つかこうへいさんが2010年に亡くなったあとも、馬場徹さんはその作品に出続けます。2010年の『広島に原爆を落とす日』では北関東血盟団の平沼役を、2011年の追悼公演『新・幕末純情伝』では坂本龍馬役を演じました。2013年の『熱海殺人事件 40years’ NEW』では、歴代最年少で木村伝兵衛部長刑事を務めています。同じ2013年の『広島に原爆を落とす日』では主演のディープ山崎役を務め、チケットは全公演完売でした。

帝国劇場から女形まで、舞台で広がった馬場徹さんの名前

舞台での評価は数字にも表れました。雑誌『演劇ぶっく』のアンケートによる「えんぶチャート」の俳優部門で、2011年は30位、2012年は10位、2013年は5位に入っています。2013年8月発行の雑誌『papyrus』50号では、客席の空気を支配する存在感と、大きな台詞でも浮かせない説得力が評されました。

出演の幅も広がります。2011年から2012年にかけては、帝国劇場開場100周年公演のミュージカル『ダンス・オブ・ヴァンパイア』でヘルベルト役を演じました。2013年6月には早乙女太一さんの公演「原点進化」で、早乙女太一さんが演じる女形の弁天小僧菊之助に1公演だけ挑みます。急に決まった話で、稽古はわずか1時間でした。自身初の女形は、公演直後からその美しさが話題になりました。

2014年2月にはミュージカル『ザ・ビューティフル・ゲーム』で主演を務め、千秋楽からわずか中3日で主演舞台『熱海殺人事件 Battle Royal』の初日を迎えています。『月刊ミュージカル』の2014年ミュージカルベストテンでは、『ザ・ビューティフル・ゲーム』が作品部門2位、馬場徹さんが男優部門26位に入りました。早乙女太一さんとは2013年の『神州天馬侠』で共演し、2015年2月の劇団朱雀解散公演にはゲストとして参加しました。

『ルーズヴェルト・ゲーム』の萬田役に視聴者の声が殺到

転機は2014年です。TBSの『ルーズヴェルト・ゲーム』で、馬場徹さんは地上波の連続ドラマに本格的に出演しました。役は野球部の投手、萬田智彦です。萬田が大きく取り上げられた第3話の放送直後から、番組の公式ホームページには再登板を願う視聴者のコメントが殺到しました。

第3話の萬田の長台詞は、さまざまな角度から10回ほど撮影されました。それでも馬場徹さんは一度も台詞を噛まなかったといいます。第3話は、野球部員を演じる共演者7人が馬場徹さんの自宅に集まって一緒に見ました。主演の唐沢寿明さんの背中を近くで見て、もっとやらなければと感じていたことも、当時の取材で話しています。

2015年4月1日付でロータス・ルーツに所属します。ドラマの仕事は、このころから増えていきました。『ウロボロス〜この愛こそ、正義。』の神取一馬役、『無痛〜診える眼〜』の太田武司役、『99.9-刑事専門弁護士-』の落合陽平役と続きました。『陸王』の大橋浩役、『下町ロケット』の柏田宏樹役、『天国と地獄〜サイコな2人〜』の富樫義貴役、『妻、小学生になる。』の副島由之役もこの流れの中にあります。

『VIVANT』のゴビ役と、馬場徹さんの2026年の出演作

NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)には2度出ています。2019年の『まんぷく』では西野紀之役を、2025年の『おむすび』では森下直久役を演じました。

TBSの『VIVANT』には2023年の第9話と第10話に出演しています。役はゴビ・ホゥランで、ベレール興産の代表という立場の人物です。2026年7月26日に第2シーズンの放送が始まると、同じ日にTBSラジオで『VIVANT 悪役会議室』が始まりました。馬場徹さんは迫田孝也さん、河内大和さんとともに、ゴビ・ホゥラン役で出演しています。8月17日にはゴビ・ホゥラン役として『ラヴィット!』にゲスト出演し、10月25日には『SMBC日本シリーズ2026』第2戦の副音声に西山潤さんと出演しました。

2026年はほかの作品も続きました。フジテレビの『ヤンドク!』で高野ひかり役、NHK総合の『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』で中尾康生役を演じています。テレビ朝日の『未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3』第8話では小河原卓役、『クロスロード 〜救命救急の約束〜』第7話では柴倉優役でした。Huluのドラマ『スイス時計の謎』にも出演し、『映画 正直不動産』では2024年のドラマ『正直不動産2』と同じ藤原結弦役を演じています。

ゴルフでプロテストを目指す素顔と、これからの馬場徹さん

仕事の外で馬場徹さんが夢中になっているのが、ゴルフです。「バッバ」の名前でYouTubeチャンネル『BABBA GOLF 〜馬場徹プロゴルファーへの道〜』を開設し、プロテストの合格を目指しています。小学生のころにサッカー選手の目標をあきらめた人が、今度はゴルフでプロへの道に挑んでいることになります。

ファンとの場も大切にしてきました。自身のファンクラブ「Team.B.B.」のイベントをサンリオピューロランドで開き、2008年7月にはダニエルとのコラボ楽曲「Happy!」を発表しています。その後も「smile」「明日へ」「story」「withyou」と、ピューロランド限定のCDを出しました。好きなアーティストにはEXILEなどを挙げています。2008年には、華道や京七宝、彫金、佛像彫刻を題材にしたDVDも出しています。

舞台では2020年の『ボーイズ・イン・ザ・バンド ~真夜中のパーティー~』でドナルド役を演じ、映画では2024年の『劇場版ドクターX FINAL』で氷室淳役を演じました。舞台、ドラマ、映画、ラジオと、馬場徹さんの仕事の場所は広がり続けています。次にどこかで馬場徹さんの長台詞を聞くときは、10回の撮影で一度も噛まなかった話を思い出してみてください。

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