見上愛の経歴、裏方志望の演劇少女から朝ドラ『風、薫る』W主演と日本アカデミー賞へ

見上愛 女性芸能人
写真: 印度孔雀 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
見上愛の写真

見上愛さんは東京生まれ、首相を夢みた女の子

2026年春、NHKの連続テレビ小説『風、薫る』で、上坂樹里さんとW主演をつとめた見上愛さん。同じ年には『国宝』で日本アカデミー賞の新人俳優賞も受けました。けれど、もともと目指していたのは俳優ではありません。舞台を裏から支える、裏方や演出家の仕事でした。

見上愛さんは2000年10月26日、東京都で生まれました。本名も見上愛です。「愛」という名前は、お父さんが高校生のころ、授業中にふと思いついたものだそうです。のちに「みんなに愛を持って接する人物になってほしい」という思いがこめられました。

小学生のときの夢は、なんと日本の首相。3歳から18歳まではバレエを習い、中学1年生から高校1年生の途中まではハンドボール部で汗を流しました。同じころバンドも組んでいて、ギターとボーカルを担当。GO!GO!7188、チャットモンチー、THE BLUE HEARTSなどの曲をカバーしていたといいます。体を動かすことも、音を鳴らすことも好きな、にぎやかな10代だったことが伝わってきます。

中学2年で観た舞台が、見上愛さんの行き先を変えた

転機になったのは中学2年生のときです。観劇が好きなご両親に連れられて観た舞台をきっかけに、演劇の世界にすっかりハマりました。

心をつかまれたのは、舞台に立つ人よりも、それを形にする裏方の仕事でした。客席からは見えないところで作品を支える側に、強く惹かれたのです。それまで続けてきたハンドボール部をやめ、高校では演劇部に移りました。大学で演劇を学ぶことを見すえての転部でした。そして大学は日本大学芸術学部の演劇学科へ進みます。首相を夢みた女の子は、こうして演劇を本気で学ぶ道を選びました。

同じ学科の出身には、俳優の河合優実さんがいます。二人には交友があり、河合優実さんが出演した映画『AREA』では、見上愛さんが衣装を担当しました。

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裏方を目指して通ったスクールから、俳優デビューへ

演出家を目指していた見上愛さんは、「裏方・演出家になるには演技も学ぶべき」と考え、ワタナベエンターテインメントのスクールに通い始めます。演じる側の気持ちを知るために始めた勉強が、そのまま俳優の道につながりました。今もワタナベエンターテインメントに所属しています。

テレビドラマに初めて出たのは2019年8月31日。日本テレビ系の土曜ドラマ『ボイス 110緊急指令室』第7話で、高木道夫の娘の役を演じました。同じ年にはNHK総合『ミス・ジコチョー〜天才・天ノ教授の調査ファイル〜』第3話にも出ています。

2020年には、TBS系の火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』で高津若菜役を演じ、連続ドラマに初めてレギュラー出演しました。夏にはTBS『MIU404』第7話と最終話に陣馬澪役で出演し、10月9日には映画『星の子』のさなえ役で映画デビュー。日本テレビ『6 from HIGH&LOW THE WORST』の市川真歩役もこの年です。

ドラマや映画だけでなく、ミュージックビデオにも多く出演しました。2021年のback number「黄色」、2022年の緑黄色社会「キャラクター」、2023年の羊文学「FOOL」などです。デビューからわずか1年ほどで、話題作に次々と名前が並ぶようになりました。

『きれいのくに』で注目、初主演がつづいた20代のはじめ

見上愛さんの名前が広く知られるきっかけになったのが、2021年4月から放送されたNHK総合のよるドラ『きれいのくに』です。容姿にコンプレックスを抱える女子高生・凜を演じ、注目を集めました。

同じ年にはMBS『ガールガンレディ』の北本レイ役、ABEMA『箱庭のレミング』の白石未映子役、映画『キャラクター』の山城綾役、『プリテンダーズ』の仙道風子役に出演。12月10日公開の映画『衝動』では倉悠貴さんとW主演をつとめ、映画で初めて主演を任されます。演じたのはアイという役でした。

2022年には、毎日放送・TBS系ドラマイズム『liar』で佐藤大樹さんとW主演をつとめ、成田美紗緒役でテレビドラマ初主演。映画『異動辞令は音楽隊!』では成瀬法子役を演じました。2023年には、毎日放送・TBS『往生際の意味を知れ!』で青木柚さんとW主演、日下部日和役に。映画『レジェンド&バタフライ』では生駒吉乃役、『658km、陽子の旅』では小野田リサ役を演じています。2023年12月に配信されたNetflix『幽☆遊☆白書』では雪菜役をつとめ、2022年のWOWOW『両刃の斧』では柴崎曜子役を演じました。主演と脇役を行き来しながら、役の幅を少しずつ広げていった時期です。

大河『光る君へ』の藤原彰子役で、見上愛さんの名前が全国へ

2024年は、見上愛さんにとって大きな一年になりました。5月10日公開の映画『不死身ラヴァーズ』で長谷部りの役を演じ、映画で初めて単独主演をつとめます。

6月30日には、NHK大河ドラマ『光る君へ』に第26回から登場しました。演じたのは、藤原道長の娘・藤原彰子。大河ドラマへの出演はこれが初めてで、最終回までこの役をつとめあげました。

8月29日に配信が始まったNetflixのドラマシリーズ『恋愛バトルロワイヤル』では唯千花役で、ドラマ単独初主演。ほかにも関西テレビ・フジテレビ『春になったら』の大里美奈子役、フジテレビ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』の木下紗耶役、WOWOW『ゲームの名は誘拐』のヒロイン・葛城樹理役、朝日放送テレビ・テレビ朝日『マイダイアリー』の長谷川愛莉役と、この一年だけでも出演作がずらりと並びます。10月にはWOWOW『月刊 松坂桃李』第1話「横★須★賀 探偵事務所」にも、さや役で顔を見せました。

2025年1月からはフジテレビ『119エマージェンシーコール』で新島紗良役を演じました。同じ年には「THE ONES TO WATCH 2025」にも選ばれています。

『国宝』と朝ドラ『風、薫る』、見上愛さんが立った大きな舞台

2025年6月6日に公開された映画『国宝』で、見上愛さんは藤駒役を演じました。この役で、2026年の第49回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受けています。同じ2025年には映画『かくかくしかじか』にも北見役で出演しました。2月にはNHK BS『正直不動産ミネルヴァ Special』で雪野遥香役を演じ、この役は2026年の『映画 正直不動産』にもつながっていきます。

そして2025年1月24日、2026年度前期の連続テレビ小説『風、薫る』の主演に決まったことが発表されます。物語の舞台は明治時代。日本で看護婦の養成所が生まれはじめたころ、看護の道を歩む二人の女性を描いた作品です。見上愛さんが演じた一ノ瀬りんは、明治に看護の仕事を切りひらいた実在の女性・大関和さんがモデルとされています。もう一人の主人公・大家直美を演じたのが上坂樹里さんでした。

『風、薫る』は2026年3月30日から9月25日まで放送されました。共演した上坂樹里さんについて、見上愛さんは「感受性が豊か」で「柔軟で繊細な表現」をする人だと語り、刺激を受けたと話しています。自分のことは「ロジカルに考えがち」だとしていて、タイプのちがう二人が並んだことも、W主演の見どころの一つです。

寺山修司と競馬とマットレス、仕事の外の素顔

見上愛さんは、劇作家で詩人の寺山修司さんと、その作品に強く惹かれていることを公にしています。裏方を目指して演劇を学んできた人らしい好みです。学生のころは、寝ている姿をよく見かけられていたそうで、まわりからは「眠り姫」と呼ばれていました。眠りへのこだわりは今もあり、エアウィーヴのマットレスを使っているといいます。

競馬との縁も深い人です。2021年の年末からJRAのCMに出演し、2022年4月からはTBSテレビ『澤部&見上の赤坂ケイバ探偵』に出演。2024年にはYouTubeの『邪馬台国はどこですか?-HIMIKO IS COMING.-』で、目黒区の元競馬場や根岸競馬記念公苑、馬事公苑などをめぐりました。

2024年からはWebラジオ『見上愛&丸山礼の脱力じかん』を続けていて、2026年1月3日には『見上愛のオールナイトニッポン』でニッポン放送のマイクの前にも座りました。ほかにもフジテレビ『ボクらの時代』では、河合優実さん、青木柚さんと語り合っています。2025年秋からはオンワード樫山「23区」のアンバサダーもつとめ、ファッションの世界でも存在感を見せています。

3歳から続けたバレエ、ハンドボール、バンド、そして演劇。どれか一つにしぼらず、気になったものに素直に飛びこんできた歩みが、いまの役の幅の広さにもつながっているように見えます。

対話を大切にする俳優、見上愛さんのこれから

役づくりのとき、見上愛さんはその役に近い経験や知識をもつ人に話を聞いてから撮影に入るそうです。一方で、自分と役との共通点は「なるべく考えないようにしている」といいます。自分の経験や共感を物差しにすると、演技の自由がせまくなってしまうからです。

仕事のうえで大切にしているのは「しっかり対話をすること」。演技についても監督たちと意見を交わし、考えをすり合わせながらつくっていくことを意識しています。演出家を目指していた人らしい、作品全体を見る目が感じられます。

2026年は、挑戦の多い年になりました。1月9日公開の劇場アニメ『ALL YOU NEED IS KILL』では、声優に初めて挑み、いきなり主演としてリタの声を担当。5月15日公開の『映画 正直不動産』では雪野遥香役、6月11日配信のNetflix『喧嘩独学』では八潮秋役を演じました。2026年12月11日には、銀山役で出演する『劇場版 薬屋のひとりごと 亡妃の秘宝』の公開も予定されています。

CMでもカネボウ化粧品「KATE」のブランドミューズや、2026年10月30日から流れるキッコーマンのCMなど、目にする機会が増えています。裏方にあこがれた中学2年生は、いまや作品の真ん中に立つ人になりました。見上愛さんが次にどんな役と出会うのか、楽しみに待ちたいところです。

写真: 印度孔雀 / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commonsより)

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