
芳根京子さんは東京生まれ、名前にこめられた街への思い
朝ドラのヒロイン、月9の主演、日本アカデミー賞の新人俳優賞。そして2025年には『波うららかに、めおと日和』でいくつもの主演女優賞を受けました。そんな芳根京子さんですが、デビュー前は芸能界とは縁のない、ごくふつうの都立高校生でした。しかも本人は、オーディションがとても苦手だったと語っています。
芳根京子さんは1997年2月28日、東京都で生まれました。「京子」という名前の由来は「東京で生まれたから」。雑誌のインタビューでは、生まれたころの家族それぞれの思いが重なって、東京で生まれたことを名前で表したかったようだと明かしています。
小さいころから音楽に親しみ、ピアノとフルートが特技です。フルートは小学校の吹奏楽部で担当していた楽器で、中学に入ると経験者として声をかけられ、吹奏楽部に入りました。楽譜を読み、仲間と音を合わせる毎日は、のちに合唱部のドラマで主演を務めるときにも生きたのかもしれません。
友達と出かけたライブ会場でのスカウト
芸能界に入るきっかけは、思いがけないところにありました。都立高校1年生のとき、友達に誘われて出かけたライブ会場でスカウトされたのです。自分から俳優を目指して事務所の門をたたいたわけではありませんでした。
所属したのはジャパン・ミュージックエンターテインメントです。事務所の先輩には篠原涼子さんがいます。2013年、フジテレビ系のドラマ『ラスト♡シンデレラ』で武内咲役を演じ、俳優としての一歩をふみ出しました。主演を務めた篠原涼子さんのことを、芳根京子さんは憧れの人として挙げています。
同じ2013年には、日本テレビの『仮面ティーチャー』で小松七海役、読売テレビの『ハクバノ王子サマ 純愛適齢期』で北凉子役と、学園ものから大人のラブストーリーまで続けて出演しました。GReeeeNの「イカロス」のPVにも出ています。デビューの年から、少しずつ現場の空気を吸いこんでいきました。
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オーディションに落ち続けた下積みの日々
主演作が続く芳根京子さんですが、初めから順調だったわけではありません。本人によると、『べっぴんさん』で朝ドラヒロインに決まるまでは、オーディションを受けても受からないことが多かったそうです。ヒロインに決まったあとにも、落ちたオーディションがあったと話しています。
『とと姉ちゃん』のオーディションも、一次で落ちていたそうです。自己PRの欄には「オーディションが嫌いなので、オーディションを受けなくても仕事ができるようになりたい」と書いていたほどです。
それでも、つかんだ役は確かな手ごたえを残しました。2014年には福島と東京で行われたオーディションで選ばれ、映画『物置のピアノ』で宮本春香役を演じ、映画初出演にして初主演を果たします。同じ年、朝ドラ『花子とアン』では、主人公の親友・蓮子(仲間由紀恵さん)の娘、宮本富士子役で朝ドラに初めて出演しました。
1,000人以上のオーディションから『表参道高校合唱部!』へ
大きな転機は2015年です。本広克行監督の青春映画『幕が上がる』で、演劇部の1年生・袴田葵役を演じました。同じ作品は舞台にもなり、芳根京子さんも同じ役で出演しています。この作品の映画と舞台で共演したももいろクローバーZの玉井詩織さんとは、親しい仲です。
そして同じ2015年、TBS系ドラマ『表参道高校合唱部!』で香川真琴役に選ばれます。1,000人以上が参加したキャストオーディションを勝ちぬいてつかんだ、ドラマ初主演でした。苦手だと語っていたオーディションで、いちばん大きな役をつかんだことになります。
この作品で、第1回コンフィデンスアワード・ドラマ賞の新人賞と、第86回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞を受けました。2015年は映画『向日葵の丘・1983年夏』で常盤貴子さんが演じる主人公の若いころ、『先輩と彼女』でヒロインの都筑りか役も演じ、一気に名前が知られる年になりました。
朝ドラ『べっぴんさん』のヒロインで全国区に
2016年度後期のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』で、芳根京子さんはヒロインの坂東すみれ役に選ばれます。2016年10月から2017年4月まで、毎朝の放送で全国の視聴者に顔を覚えられる存在になりました。
この時期は、ほかの仕事も一気に広がっています。映画『64 -ロクヨン-』では三上あゆみ役、ドラマ『モンタージュ 三億円事件奇譚』ではヒロインの小田切未来役を演じました。2016年からは文化放送で『芳根京子のみみにリコピン♪』のパーソナリティを務め、読売新聞の夕刊では「芳根京子の“芳根”と書いて“よしね”と読みます。」というコラムを全6回書いています。
公式ブログ「芳根京子のキョウコノゴロ」も人気を集め、BLOG of the year 2016のオフィシャル部門で優秀賞を受けました。2017年には1st写真集『ネコソガレ』を出し、映画『心が叫びたがってるんだ。』ではヒロインの成瀬順役を演じています。
『海月姫』『累』で見せた演技の幅と日本アカデミー賞
朝ドラを終えた芳根京子さんが次に主演したのは、2018年の月9ドラマ『海月姫』です。倉下月海役で、朝ドラのヒロインとはまたちがう顔を見せました。同じ年には、日本テレビの『高嶺の花』で月島なな役を演じ、第13回コンフィデンスアワード・ドラマ賞の助演女優賞を受けています。
映画では、土屋太鳳さんとのダブル主演『累 -かさね-』で淵累役に挑みました。さらに時代劇『散り椿』では篠原美鈴役を演じ、この2作の演技で第42回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受けました。
その後も役の幅は広がっていきます。2019年は映画『居眠り磐音』や『今日も嫌がらせ弁当』、ドラマ『TWO WEEKS』、劇場アニメ『ぼくらの七日間戦争』では北村匠海さんとダブル主演で声の仕事にも挑みました。2021年の映画『ファーストラヴ』では聖山環菜役、ドラマ『コントが始まる』では岸倉奈津美役、NHKの『半径5メートル』では前田風未香役で主演を務めています。
芳根京子さんの『めおと日和』と2026年の新しい挑戦
2024年は、映画『カラオケ行こ!』で森本もも役、『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』でミーナ役の声を担当しました。日本テレビ開局70年のスペシャルドラマ『テレビ報道記者〜ニュースをつないだ女たち〜』では、江口のりこさんとダブル主演を務めています。2025年にはTBSの『まどか26歳、研修医やってます!』で研修医の若月まどか役を演じました。
そして2025年4月から放送したフジテレビの『波うららかに、めおと日和』で、江端なつ美役を演じます。この作品で第124回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞、TV LIFE年間ドラマ大賞2025の主演女優賞、モデルプレス ベストドラマアワード2025の主演女優部門1位に選ばれました。第50回エランドール賞も受けています。
2026年は、さらに新しい場が続きました。3月にはNHK BSプレミアム4Kのドラマ『有罪、とAIは告げた』で高遠寺円役、ディズニーの映画『私がビーバーになる時』ではメイベル役の吹き替えを担当。6月から7月にかけては舞台『ウェンディ&ピーターパン』で渡辺翔太さんとダブル主演を務めました。8月には『24時間テレビ49』のチャリティーパートナーも担っています。2026年10月15日からは、本田響矢さんとともに『波うららかに、めおと日和』の続編がフジテレビの木曜劇場で始まりました。前作の昭和11年から、続編は昭和12年へと舞台を移しています。
声の仕事も長く続けています。フジテレビの『ザ・ノンフィクション』では、2020年から「たどりついた家族」のシリーズなど何本もの回でナレーションを担当してきました。2023年から2024年にかけて上野の森美術館で開かれた『モネ 連作の情景』でも、ナレーションを担当しました。2023年には2nd写真集『京』も出しました。CMでもおなじみで、アサヒ飲料の「三ツ矢サイダー」、JR東日本クロスステーションの「NewDays」、アサヒビールの「アサヒ生ビール〈マルエフ〉」、サンヨー食品の「サッポロ一番塩らーめん」など、数多くの広告で親しまれてきました。
トマトとももクロが大好き、素顔の芳根京子さん
画面の外の芳根京子さんは、とても親しみやすい人です。2歳ごろからの大のトマト好きで、1人で1キロ分を一気に食べたこともあるそうです。高校時代はお弁当を2、3個持っていき、そのうち1つはプチトマトが8個だけ入ったものでした。いちばん好きな品種は「ラブリーさくら」です。ラジオ番組の名前『みみにリコピン♪』にも、そのトマト好きがあらわれています。
趣味は料理とお菓子作り、犬の散歩です。料理を好きになったきっかけの一つは、東京・かっぱ橋の道具街だといいます。休みの日は、フェレットや犬、猫と過ごしたり、友人とオンラインゲームを楽しんだりしています。ももいろクローバーZのファン「モノノフ」としても知られ、ライブにも足を運んでいます。北海道とのつながりも深く、北海道テレビのドラマ『チャンネルはそのまま!』で雪丸花子役を演じたほか、北海道電力のCMに出演し、『アナザースカイ』では北海道ニセコを訪ねました。
共演者との縁も大切にしていて、『幕が上がる』の伊藤沙莉さん、『オールドルーキー』の生田絵梨花さんや岡崎紗絵さんとも仲よしです。同じ事務所の後輩・秋元真夏さんとは『それってパクリじゃないですか?』で共演し、撮影の場で緊張をほぐしたというエピソードもあります。オーディションが苦手だった少女は、いまでは主演として現場を明るくする存在になりました。舞台、声の仕事、ナレーションと、これからも芳根京子さんの新しい顔に出会えそうです。
写真: Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan / CC BY 2.0 (Wikimedia Commonsより)


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