
13年ぶりの小島楓へ 松嶋菜々子さんが救命の現場に帰ってきた
2026年10月12日から、フジテレビ系の月9枠で『救命病棟24時』第6シリーズが放送されています。松嶋菜々子さんは救命医・小島楓役で、進藤一生役の江口洋介さんとダブル主演。楓を演じるのは2013年の第5シリーズ以来13年ぶり、江口さんとの共演は2010年のスペシャルドラマ以来およそ16年ぶりです。今回は「変わりゆく時代の中で失ってはいけないもの」がテーマで、医師の働き方改革や世代による考え方の違い、命の選択といった、いまの医療現場の題材が描かれます。
第1シリーズの楓は、研修医として進藤とぶつかる若い医師でした。6シリーズ目を迎えたこの作品について、松嶋さんは制作決定のコメントで「役と共に俳優としても成長してきたなと、変化を感じることができる作品です。」と話しています。
2026年は1月からテレビ朝日の『おコメの女』で主演し、夏には『GTO』で冬月あずさ役を再び演じ、秋は『救命病棟24時』。いまも主演作が続く松嶋さんですが、始まりは高校1年の終わりにファッション誌の読者モデルとして声をかけられたことでした。
横浜で育ちソフトボールと書道に打ち込んだ学生時代
松嶋菜々子さんは1973年10月13日生まれ、神奈川県横浜市の出身です。所属事務所はセブンス・アヴェニュー。小学生までは横浜市鶴見区で、中学生からは座間市で過ごしました。
横浜市立矢向小学校から相模女子大学中学部・高等部へ進み、中学ではソフトボール部、高校では書道部に入っていました。体を動かす部活と、静かに筆と向き合う部活。どちらも経験しているところに、のちの役の幅の広さが重なって見えます。小さいころから視力がよくなく眼鏡をかけていて、ふだんはコンタクトレンズを使っているそうです。
転機は高校1年の終わりごろです。女性ファッション誌『ViVi』の読者モデルにスカウトされ、反対していた両親を説得してデビューしました。それまでの学校生活とはまるで違う世界に、自分の意思で踏み出したことになります。
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てりやきバーガーのCMからViVi専属モデルへ 松嶋菜々子さんの下積み
1991年、日本マクドナルドの「てりやきバーガー」キャンペーンのCMに出演し、話題になります。同じ年の11月には『なるほど!ザ・ワールド』の放送10周年とタイアップした旭化成水着マスコットガールに選ばれ、1992年度の第17代旭化成せんいキャンペーンモデルとして番組にも出演しました。アサヒ飲料の1992年度イメージガールも務めています。
1992年、18歳で『ViVi』の専属モデルになります。バブル崩壊の時代を映して、当時のキャッチコピーは、ボディコンに対抗する「ハートコンシャス・サンプレイ」でした。同じ年、TBSのドラマ『社長になった若大将』で藤木美和役を演じ、女優としての一歩を踏み出しました。1993年にはフジテレビの『ボクたちのドラマシリーズ お願いダーリン!』にも出演しています。
1994年から1995年にかけては、『とんねるずのみなさんのおかげです』のコント「近未来警察072」に、いじられ役のナナ隊員として出演し、名前と顔が広く知られていきました。1995年には日産「アベニール・サリュー」のCMが評判になり、指名での仕事が一気に増えていきます。
約2000人のオーディションを勝ち抜いて ひまわりのヒロインに
1996年、NHK連続テレビ小説『ひまわり』のヒロイン・南田のぞみ役に抜てきされます。約2000人が参加したオーディションを勝ち抜いての起用で、朝ドラが初めての主演作になりました。
このオーディションは、当時の事務所から受からないかもしれないけれど受けてみて、と勧められたものだったそうです。受けたあと、スタッフにNHK近くのお店へうなぎのランチに誘われました。主演が決まってからプロデューサーに聞くと、ドラマに食事の場面があるので食べ方を見たかったのだと明かされたといいます。
出演が決まると実家を出て、NHKの近くに引っ越しました。この作品をきっかけに一気にメジャー女優への階段を駆け上がります。同じ1996年には、旅のドラマ『劇的紀行 深夜特急’96〜熱風アジア編〜』で手塚真理子役を演じ、この役は1998年まで続くシリーズになりました。1997年には『世にも奇妙な物語』の「管理人」で主演も務めています。1997年には松下電工(現パナソニック)の「きれいなおねえさん」の2代目に選ばれて話題になり、好感度No.1女優にも選ばれました。同じ年には『君が人生の時』『こんな恋のはなし』と連続ドラマへの出演も重ねています。
リングにGTOにやまとなでしこ 出演作が次々とヒット
1998年、映画『リング』で浅川玲子役を演じ、映画初主演を果たします。この役で第22回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞を受けました。同じ年にはドラマ『Sweet Season』で藤谷真尋役として主演し、夏の『GTO』では冬月あずさ役で人気を集め、作品も大ヒットします。
1999年は、江口洋介さんとダブル主演の『救命病棟24時』第1シリーズ、『魔女の条件』の広瀬未知役、『氷の世界』の江木塔子役と、3本の連続ドラマがいずれもヒットしました。この年はNHKの正月ドラマ『加賀百万石〜母と子の戦国サバイバル』で淀も演じ、第50回NHK紅白歌合戦では初めて審査員を務めています。2000年の映画『ホワイトアウト』では平川千晶役を演じ、第24回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞に選ばれました。
2000年は、3夜連続のスペシャルドラマ『百年の物語』に主演して平均視聴率29.6%を記録。続く『やまとなでしこ』の神野桜子役では30%を超えました。2002年には大河ドラマ『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』で唐沢寿明さんとダブル主演し、まつを演じます。連続テレビ小説と大河ドラマの両方でヒロインを務めたのは、松嶋さんが史上初めてでした。
家政婦のミタで最高視聴率40.0% 松嶋菜々子さんの新しい顔
2005年の『火垂るの墓』(日本テレビ)では、冷たく当たる叔母・澤野久子役に挑み、ドラマ・コンプレックス史上最高の視聴率21.2%を記録しました。のちにテレビ誌で、この役のオファーを聞いたときは最初やりたくないと思ったと打ち明けています。それでも引き受け、それまでとは違う冷たい役に挑みました。
2009年には楓を主人公にしたスペシャル『救命病棟24時 救命医・小島楓』と第4シリーズに主演。そして2011年、『家政婦のミタ』(日本テレビ)で三田灯役を演じます。仕事は完璧にこなすのに、表情を見せず機械のように動く家政婦です。平均視聴率25.2%、最高視聴率は日本のドラマ史上歴代3位タイの40.0%に届き、社会現象になりました。
その後も『ラッキーセブン』の藤崎瞳子役、2013年の『救命病棟24時』第5シリーズ、2015年の『レッドクロス〜女たちの赤紙〜』の天野希代役、2016年の『営業部長 吉良奈津子』の主演と続きます。映画では2007年の『眉山』で河野咲子役として主演し、2018年の『祈りの幕が下りる時』で浅居博美役、2023年の『ミステリと言う勿れ』で君原奈津子役を演じ、2014年の劇場アニメ『思い出のマーニー』では佐々木頼子役の声を担当しました。
姉のように慕った先輩と 松嶋菜々子さんの素顔
仕事の外の顔として知られているのが、先輩たちとのつながりです。女優の深浦加奈子さんのことは、姉のように慕っていました。事務所の先輩女優だった白川由美さんとも、長く親しい付き合いがありました。
普通自動車と普通自動二輪車の運転免許を持っていて、2004年には旅の本『松嶋菜々子と行くパリの旅本』(集英社)も出しています。ドキュメンタリーの語り手としての顔もあり、NHKの「古代エジプト 3人の女王のミステリー」でナビゲーターを務め、2018年に始まった『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』でもナビゲーターを担当しました。ドラマの役とはまた違う、落ち着いた語り口です。2003年には槇原敬之さんの「君の名前を呼んだ後に」のミュージックビデオにも出演しました。2006年には、世界の貧困をなくすことを呼びかける『ほっとけない世界のまずしさキャンペーン』にも参加しました。
2023年には第34回日本ジュエリーベストドレッサー賞の40代部門を受賞しました。20代、30代の部門に続く3度目の受賞で、これはこの賞で初めてのことでした。年代が変わっても輝き続けている人だと、多くの人が感じている証しでしょう。
なつぞらから救命病棟24時まで 松嶋菜々子さんのいまとこれから
2019年、連続テレビ小説『なつぞら』で柴田富士子役を演じ、『ひまわり』以来23年ぶりに朝ドラへ戻りました。2023年の大河ドラマ『どうする家康』では於大の方、2025年の連続テレビ小説『あんぱん』では柳井登美子役を演じています。民放でも2021年の『SUPER RICH』で島谷聡美役、2022年の『となりのチカラ』で道尾頼子役、2023年の『王様に捧ぐ薬指』で新田静役と出演が続き、2025年の第76回NHK紅白歌合戦にはゲスト審査員として出演しました。
2026年1月からは、テレビ朝日の木曜ドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』に主演。東京国税局の調査官・米田正子として、なかなか手を出せない脱税事案に切り込む役で、テレビ朝日の連続ドラマでは初の主演作でした。夏の『GTO』では冬月あずさ役で再び登場し、秋の『救命病棟24時』へとつながっていきます。
新シリーズについて松嶋さんは、毎シリーズのテーマを「“今回は何を取り上げるのかな”とワクワクした気持ちでした。」と語り、リハーサルを通して「改めて最新の医療現場を知り、とても驚いています。」とも話しました。研修医から医局長を経験し、ベテランになった楓。その歩みは、松嶋さん自身の積み重ねとも重なります。進藤と楓がこれからどう向き合っていくのか、月曜の夜が楽しみです。
写真: Georges Biard / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commonsより)


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