
小栗旬さんの生い立ち、11歳で応募した新聞の端のオーディション
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で主人公の北条義時を1年かけて演じ、2026年には『豊臣兄弟!』で織田信長役。所属事務所トライストーン・エンタテイメントの社長も務めています。そんな小栗旬さんの出発点は、11歳の少年が新聞の端で見つけた、オーディションの知らせでした。
小栗旬さんは1982年12月26日、東京都小平市で生まれました。父は舞台監督の小栗哲家さん、母はクラシックバレエの先生、兄は演出家の小栗了さんです。舞台やダンスがすぐそばにある家で育ちました。
芸能の世界に入ったのは小学6年生のときです。俳優の内田有紀さんに憧れ、新聞の端に載っていたオーディションに応募して合格しました。はじめはエキストラとして現場に通う日々でした。やがて名前のある役もつきはじめ、1995年には大河ドラマ『八代将軍吉宗』で徳川宗翰役、1996年には『秀吉』で石田三成の少年時代・佐吉役を演じています。10代の前半で、すでに大河ドラマの現場を2度経験していました。
『GTO』『Summer Snow』と蜷川幸雄さんの舞台で重ねた下積み
1998年、関西テレビの『GTO』で生徒の吉川のぼる役を演じ、連続ドラマに初めてレギュラーで出演します。高校は2年で中退し、恵比寿の洋服屋でアルバイトをしながら仕事を続けました。2000年にはTBSの『Summer Snow』で、堂本剛さん演じる篠田夏生の弟で、耳の聞こえない篠田純役を演じます。2002年には日本テレビの『ごくせん』で、生徒のうっちーこと内山春彦役を演じました。
映像の仕事と並んで力を注いだのが舞台です。2003年、蜷川幸雄さん演出の『ハムレット』でフォーティンブラス役を演じて以来、蜷川作品の常連になりました。『お気に召すまま』のオーランドー役、『間違いの喜劇』の双子の二役と、シェイクスピア作品で大きな役を任されていきます。
2006年の『タイタス・アンドロニカス』ではエアロン役を演じ、イギリスのロイヤル・シェイクスピア・シアターでも公演しました。現地の批評家からは「小栗旬は信じられないほど美しく演じた」と評されています。蜷川さんの舞台では、俳優の吉田鋼太郎さんが小栗旬さんの教育係を任され、そこから長いつきあいが始まりました。舞台で名を知られていた吉田さんが映像の仕事に出たのは、小栗旬さんの「鋼太郎さんを映像に出したい」という思いもあってのことだったそうです。
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『花より男子』の花沢類と『花ざかりの君たちへ』でブレイク
2005年、TBSの『花より男子』で花沢類役を演じます。オファーを受けたとき、本人は乗り気ではなかったと語っています。それでも花沢類役は大きな反響を呼び、2007年の続編『花より男子2(リターンズ)』で人気が一気に広がりました。
同じ2007年、フジテレビの『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』で佐野泉役を演じ、人気にさらに火がつきます。映画では主演作『キサラギ』で家元役、『クローズZERO』で滝谷源治役を演じ、どちらもヒットしました。『クローズZERO』では第17回日本映画批評家大賞の主演男優賞を受けています。
この時期は仕事の場も大きく広がりました。前の年の2006年には、『名探偵コナン』のドラマスペシャルで工藤新一役を演じ、単発ドラマで初めての主演を経験しています。2007年1月からはニッポン放送『小栗旬のオールナイトニッポン』のパーソナリティを2010年3月まで担当しました。『情熱大陸』では番組で初めて2週続けて特集され、舞台『カリギュラ』では初めて題名になっている役に挑みました。
連ドラ初主演から映画監督デビュー、『リッチマン、プアウーマン』へ
2008年、日本テレビの『貧乏男子 ボンビーメン』で小山一美役を演じ、連続ドラマで初めて主演を務めます。前の年からの活躍もあわせて、第32回エランドール賞の新人賞など多くの賞を受けました。2009年は大河ドラマ『天地人』で石田三成役。少年時代を演じた『秀吉』から13年ぶりに、同じ人物を演じたことになります。舞台『ムサシ』の佐々木小次郎役、映画『TAJOMARU』の畠山直光役と時代ものが続き、同じ年には『東京DOGS』の高倉奏役でフジテレビ月9の初主演も果たしました。
2010年には映画『シュアリー・サムデイ』で監督としてデビューします。俳優としては史上最年少での映画監督デビューでした。2011年は主演映画『岳-ガク-』で島崎三歩役、劇団☆新感線の舞台『髑髏城の七人』で捨之介役。2012年には映画『宇宙兄弟』で南波六太役の主演を務めています。
そして2012年、フジテレビの『リッチマン、プアウーマン』で日向徹役を演じます。日刊スポーツ・ドラマグランプリと第74回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で主演男優賞を受け、2013年にはスペシャル版も放送されました。のちに韓国でもドラマになった作品です。
『銀魂』『罪の声』をへてハリウッドデビュー
2014年はテレビ朝日の『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』で石川安吾役、フジテレビの『信長協奏曲』で織田信長と明智光秀の二役を演じました。同じ年の映画『ルパン三世』では、10か月のアクショントレーニングと8キロの減量で役をつくっています。
2017年の映画『銀魂』では主人公の坂田銀時役を演じ、その年の実写の邦画で第1位を記録しました。2018年には続編『銀魂2 掟は破るためにこそある』も公開されます。2017年は『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』の稲見朗役で、第8回コンフィデンスアワード・ドラマ賞の主演男優賞も受けました。2018年は大河ドラマ『西郷どん』で坂本龍馬役、2019年は映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』で太宰治役を演じ、10キロ以上減量して撮影にのぞみました。
2019年の夏には、語学を学ぶためにロサンゼルスへ渡ります。新型コロナウイルスの影響で、帰国は2020年7月までのびました。2020年の映画『罪の声』では新聞記者の阿久津英士役で、報知映画賞と日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の主演男優賞、第44回日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を受けています。2021年には『ゴジラvsコング』の芹沢蓮役でハリウッドデビュー。ロサンゼルスにいるあいだに制作側から声がかかり、話し合いを重ねて出演が決まりました。
『鎌倉殿の13人』の北条義時と、俳優と社長の二刀流
2022年、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で主演を務め、北条義時を1月から12月まで演じました。少年時代の『八代将軍吉宗』から数えて、大河ドラマへの出演を重ねてきた末の主演です。この役で東京ドラマアウォード2023の主演男優賞を受けました。2023年12月には『どうする家康』の最終回に、南光坊天海役で登場しています。
2023年6月8日には、所属事務所トライストーン・エンタテイメントの株主総会をへて、2代目の代表取締役社長に就任しました。ここから俳優と社長の二刀流で活動しています。
映画では『キングダム 運命の炎』(2023年)で李牧役を演じ、『キングダム 大将軍の帰還』(2024年)、『キングダム 魂の決戦』(2026年)と同じ役で出演を続けました。2023年の映画『かぞく』では、吉沢亮さん、永瀬正敏さん、阿部進之介さんと4人で主演を務めています。2024年にはオムニバス映画『MIRRORLIAR FILMS Season6』の一編『1/96』で監督も担当しました。
2025年から2026年、織田信長役と『バッド・ルーテナント:トウキョウ』
2025年6月公開の映画『フロントライン』では、主演の結城英晴役を演じました。10月からはNetflixのドラマ『匿名の恋人たち』で藤原壮亮役の主演。11月と12月には、フジテレビの『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』の2話で、若いころ何度も舞台に立った蜷川幸雄さんの役を演じています。
2026年は、1月4日に始まった大河ドラマ『豊臣兄弟!』で織田信長役。同じ1月から3月まで、三谷幸喜さん演出の舞台『いのこりぐみ』で若手教師役の主演を務めました。7月にはNetflixのドラマ『ガス人間』で岡本賢治役の主演。9月には『GTO』の2026年版の最終話に、1998年と同じ吉川のぼる役で登場しています。
三池崇史監督の映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』では、新宿・歌舞伎町で生きる元組対(警視庁の組織犯罪対策部)の刑事・矢吹恭二役で主演。第51回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門でワールドプレミア上映され、2026年10月23日に日本で公開されました。英語での芝居もあり、10月1日の舞台あいさつでは「二度とやりたくないです」と冗談まじりに話しています。さらに10月16日に始まったTBSの金曜ドラマ『LOST10』に、フリーの保険調査員・直役で出演。横浜流星さんが主演の作品で、民放の連続ドラマへのレギュラー出演は5年ぶりです。
野球と阪神タイガース、素顔の小栗旬さんとこれから
仕事を離れた小栗旬さんは、野球が大好きです。趣味に野球と音楽鑑賞を挙げ、明星学園の野球部OBでもあります。阪神タイガースのファンであることも公言しています。左利きです。なりすましのアカウントが出たことを受けて、XなどのSNSはしていないと公式サイトで知らせています。
声の仕事も長く続けてきました。アニメ映画『天気の子』では須賀圭介役、『窓ぎわのトットちゃん』ではトットちゃんの父親役、ゲーム『龍が如く6 命の詩。』では染谷巧役を担当しています。2017年の「サントリー1万人の第九」では朗読ゲストとして、約4分におよぶせりふを覚えて舞台に立ちました。CMでも、三井住友カードや大正製薬「パブロンエース Pro-X」、2026年に始まったLooop「Looop でんき」など、おなじみの顔です。
『LOST10』について、小栗旬さんは「見ている方が色々なことを感じながら、それぞれの視点で楽しんでもらえたらと思います」とコメントしています。エキストラから始まり、舞台、大河ドラマ、ハリウッド、そして事務所の社長へ。役者として、作り手として、この先どんな顔を見せてくれるのか楽しみです。
写真: K6ka / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commonsより)


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