山中崇、大学時代に岡本太郎の本で俳優の道へ 『深夜食堂』『VIVANT』までの歩み

『深夜食堂』の林ゲン、連続テレビ小説『ごちそうさん』の室井幸斎、『VIVANT』のアリ・カーン。山中崇さんの名前を聞いて、思いうかべる役は人によってちがうと思います。2026年だけでもドラマと映画の出演作がずらりと並ぶ山中崇さんですが、大学時代には就職活動もしていました。進む道を変えたのは、1冊の本でした。

山中崇さんの生い立ち、大学時代に刺激を受けた岡本太郎さんの本

山中崇さんは1978年3月18日生まれ、東京都の出身です。東京経済大学のコミュニケーション学部を卒業しました。所属事務所はザズウです。

大学時代の山中崇さんは、就職活動もしていました。そのころ強い刺激を受けたのが、芸術家の岡本太郎さんの著書『自分の中に毒を持て』です。この本をきっかけに、芝居の道に進むと決めました。就職も考えていた大学生が、芝居を仕事にする道を選んだことになります。

出演作の一覧でいちばん古い映画は、2001年12月の『きれいにするとこからはじめよう。』です。山口智監督の作品で、山中崇さんはワタベを演じました。2001年は、山中崇さんが23歳になる年です。山口智監督の作品にはその後も、2005年の『ユニットバスシンドローム』のフジモト役、2009年の『代行のススメ』の江原誠二役などで出演しています。

野田秀樹さん、飴屋法水さん、松本雄吉さんの舞台に立ち続けて

山中崇さんの歩みを語るとき、舞台は外せません。演出家の野田秀樹さん、飴屋法水さん、松本雄吉さんの作品に出演してきました。

2003年にはNODA・MAPの『オイル』に出演し、2004年には新国立劇場の『透明人間の蒸気』に出ています。こちらは野田秀樹さんの作・演出です。同じ2004年には松竹の『髑髏城の七人』にも出演しました。青島レコードの公演にも、2003年から2005年にかけて続けて出ています。

その後も、2011年に飴屋法水さん演出の『おもいのまま』、2013年に松本雄吉さん演出の『石のような水』、2016年に同じく松本雄吉さん演出の『PORTAL』と続きます。2016年には三谷幸喜さんの作・演出の『エノケソ一代記』、2017年にはシルヴィウ・プルカレーテさん演出の『リチャード三世』にも出演しました。2024年にはケラリーノ・サンドロヴィッチさんの上演台本・演出による『桜の園』にも出ており、映像の仕事が増えてからも舞台を離れていないことが、出演の記録から分かります。

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CMと『電車男』『のだめカンタービレ』で広がった顔

映像の仕事では、2003年ごろからCMとドラマの出演が増えていきます。2003年にはNTTドコモの「若者応援キャンペーン」やライオンの「部屋干しトップ」に出演しました。NTTドコモ九州のCMには2003年から2006年まで続けて出ており、2006年の「未来を守る篇」「どんなときも篇」ではナレーションも担当しています。

ドラマでは、2004年の『演技者。』第17弾で松本を演じました。2005年にはフジテレビ系の『電車男』で嫌味冬彦を演じました。この役は同じ年の特別編『電車男 もう一つの最終回スペシャル』、2006年の『電車男 DELUXE 最後の聖戦』でも演じました。

2006年にはフジテレビ系の『のだめカンタービレ』で岩井一志を演じ、2008年の新春スペシャルにも同じ役で出ています。テレビアニメでは、2008年に始まった『ミチコとハッチン』でイヴァンとイヴォの二役の声を担当しました。ドラマ、CM、声の仕事と、仕事の幅が少しずつ広がっていった時期です。

転機になった映画『松ヶ根乱射事件』と山中崇さんのクセのある役

流れを変えたのが、山下敦弘監督の映画『松ヶ根乱射事件』です。2006年に、事件の渦中にいる主人公の双子の兄、鈴木光を演じました。クセのある男の役です。映画は2007年3月10日に公開され、第19回東京国際映画祭のコンペティション部門(賞を競う部門)にノミネートされています。

それまでの山中崇さんは、普通の青年の役を演じることが多くありました。この作品のあとは、クセのある役の依頼も増えていきます。普通の人もクセのある人も頼める俳優として、作り手の目にとまったのかもしれません。

そこからの映画の出演作は、監督の名前を見るだけでもにぎやかです。2008年は橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』の小久保健二役、タナダユキ監督の『百万円と苦虫女』の田代役。2009年は是枝裕和監督の『空気人形』のファミレス店長・岡部役です。2010年には李相日監督の『悪人』の巡査役、森田芳光監督の『武士の家計簿』の前田斉泰役、熊切和嘉監督の『海炭市叙景』の工藤まこと役と続きます。2011年には張芸謀監督の『金陵十三釵』で朝倉中尉を演じ、中国で公開された作品にも出演しました。2012年には西川美和監督の『夢売るふたり』の日野洋太役、北野武監督の『アウトレイジ ビヨンド』の山王会組員役もあります。

『深夜食堂』の林ゲン、2009年から演じ続ける役

山中崇さんの代表的な役の一つが、『深夜食堂』の林ゲンです。2009年10月にTBSテレビ系で放送が始まったドラマで、山中崇さんはこの最初のシリーズからゲンを演じました。

その後も2011年の『深夜食堂2』、2014年の『深夜食堂3』に出演しています。Netflixで配信された2016年の『深夜食堂4 -Tokyo Stories-』、2019年の『深夜食堂5 -Tokyo Stories-』でも同じ役を演じました。映画では2015年の『映画 深夜食堂』、2016年の『続・深夜食堂』に出ています。そして2026年10月21日には『深夜食堂6』の放送が始まり、ここでもゲンを演じています。最初のシリーズから数えると17年です。

長く組む作り手は、ほかにもいます。藤井道人監督の映画には、2018年の『青の帰り道』、2019年の『デイアンドナイト』、2020年の『宇宙でいちばんあかるい屋根』、2022年の『余命10年』、2023年の『最後まで行く』、2024年の『正体』と出演を重ねました。長久允監督の『そうして私たちはプールに金魚を、』の先生役と『WE ARE LITTLE ZOMBIES』の中川田誠役も、同じ監督とのつながりです。

『ごちそうさん』の室井幸斎で話題に、続く連続テレビ小説と大河ドラマ

役が話題を呼んだのが、2013年度後期の連続テレビ小説『ごちそうさん』です。連続テレビ小説は、NHKの朝の連続ドラマで、いわゆる朝ドラです。山中崇さんが演じた室井幸斎は、ヒロインの実家の洋食屋に入り浸る売れない文士です。第8話から第150話までの長い出演で、2014年のNHK BSプレミアムのドラマ『ごちそうさんっていわしたい!』でも同じ役を演じています。

連続テレビ小説には、その後も出演が続きます。2018年度前期の『半分、青い。』の浅葱洋二、2020年度前期の『エール』の天野弘、2022年度前期の『ちむどんどん』の田良島甚内です。

大河ドラマでは、2013年の『八重の桜』で大庭恭平を演じました。2017年の『おんな城主 直虎』では瀬戸村の百姓の八助を、2022年の『鎌倉殿の13人』では平賀朝雅を演じています。百姓から武士まで、時代も立場もちがう役をこなしてきました。

山中崇さんと『VIVANT』のアリ・カーン、そして2026年の出演作

2023年7月に放送が始まったTBSの日曜劇場『VIVANT』で、山中崇さんはアリ・カーンを演じました。第1話、第5話、第6話への出演です。そして2026年7月26日には『VIVANT』第2シーズンの放送が始まりました。話数は第11話からで、山中崇さんも同じアリ・カーン役で出演しています。2026年8月には朝の生放送番組『ラヴィット!』に登場しました。9月18日のTBS系『A-Studio+』はゲスト出演の回で、『VIVANT』の撮影裏話や共演した堺雅人さんについて話す内容と告知されました。

2026年の出演作は『VIVANT』だけではありません。ドラマでは、NHK BSの『対決』の和藤由伸、TBSの『田鎖ブラザーズ』の茂木幸輝を演じ、フジテレビの『コスメティック・プレイラバー Season2』では佐橋紘己を演じました。Huluの『時計館の殺人』では小早川茂郎を演じています。映画では1月23日公開の『ただいまって言える場所』の月岡裕人、7月10日公開の『トロフィー』のソヒの叔父を演じました。

同じ2026年の7月19日にはWOWOWの『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』が始まり、10月にはフジテレビの『kiDnap GAME』第2話で原島公章を、『救命病棟24時 第6シリーズ』第2話で小野川卓を演じています。

素顔はカレーマイスター、声の仕事と次の大河ドラマ

仕事の外の顔で知られているのが、カレー好きです。山中崇さんは大のカレー好きで、カレーマイスターの資格を持っています。旅番組の『遠くへ行きたい』には2016年から2021年にかけて6回登場し、青森、香川、徳島、大分、富山、奈良を訪ねました。

声の仕事も、山中崇さんのもう一つの柱です。テレビ東京の『ガイアの夜明け』では、2020年から2021年にかけて7回ナレーションを担当しました。NHKスペシャルでも「四冠誕生 藤井聡太 激闘200時間」などのナレーションを務めています。NHK-FMのラジオドラマにも出演していて、2022年の「朝が生まれる」では越智大智を演じました。

これからの予定も決まっています。2026年11月14日には、NHK BSの『この味もまたいつか恋しくなる』でバーの店主を演じる予定です。そして2027年放送予定の大河ドラマ『逆賊の幕臣』では、岩倉具視を演じます。大学時代に刺激を受けた1冊の本をきっかけに選んだ俳優の道は、大河ドラマの歴史上の人物へと続いています。

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