いきものがかり、小1の「生き物係」から紅白へ 「ありがとう」と20周年の47都道府県ツアー

いきものがかりがデビュー20周年に開いた初めてのフェス

2026年3月14日と15日、千葉のLaLa arena TOKYO-BAYで『超いきものがかりフェス デビュー20周年だよ!! 〜ありがとうって伝えたくて〜』が開かれました。いきものがかりにとって、初めての主催フェスです。ゆず、鈴木雅之さん、槇原敬之さん、上白石萌音さん、アイナ・ジ・エンドさん、TOMOOさんら、世代の違う仲間がお祝いにかけつけました。

2日目の本編では、吉岡さんが客席に「20年のその先に行くので、みなさん、ついてきてくれますか?」と呼びかけてから「ありがとう」を歌いました。アンコールで2人だけになると、デビュー曲「SAKURA」を路上ライブのように届けて締めくくりました。終演後のインタビューで、ボーカルの吉岡聖恵さんは「刺激いっぱいの21年目の始まりになりました」と話しています。4月18日からは、2010年以来となる47都道府県ツアーが地元の厚木市文化会館から始まりました。

国民的なヒット曲をいくつも持つグループですが、その出発点は、小学1年生のクラスで任された小さな係の仕事でした。

小学1年生の生き物係から始まった路上ライブ

1989年、水野良樹さんと山下穂尊さんは小学1年生で出会い、クラスで金魚に餌をあげる「生き物係」をいっしょに担当しました。2人は同じ神奈川県立厚木高校に進み、1999年2月1日に音楽グループを結成します。グループ名は、2人の唯一の共通点だった生き物係から、山下さんの提案で決まりました。この日が公式の結成日です。

4月12日からは、小田急線の相模大野駅前で路上ライブを始めました。最初に演奏したのは山崎まさよしさんの「Fat Mama」です。地元・神奈川出身のゆずが大ブレイクした直後で、駅前にはゆずのカバーを歌う男性2人組が増えていきます。同じことをしていてもつまらないと感じた2人は、真ん中で女の子が歌えば、もっといろいろな人が足を止めてくれるのではと考えるようになりました。

そこで、同級生の妹だった吉岡聖恵さんに声をかけます。吉岡さんは路上ライブへの飛び入りをきっかけに、1999年11月3日に加わりました。3人で最初に演奏した曲は、ゆずの「夏色」です。仮の名前だった「いきものがかり」は、吉岡さんが気に入ったことでそのまま残りました。

あわせて読みたい:志田未来の生い立ちと軌跡はこちら

一度の解散ライブと厚木のライブハウスでの再出発

本厚木駅や海老名駅の周辺へ拠点を移して活動を続けた3人でしたが、大学受験を前に解散を決め、2000年9月17日に本厚木駅前の路上で解散ライブを開きました。その後、水野さんと山下さんは大学へ、吉岡さんは音大へ進み、グループの再開を試みます。ところが吉岡さんは音大の厳しい訓練で歌に挫折し、再開はなかなか進みませんでした。

2003年2月、山下さんの説得で吉岡さんが再開を決めます。路上だけでなくライブハウスでの活動に舵を切り、6月2日には厚木市のライブハウス「Thunder Snake ATSUGI」で初めてのワンマンライブを開きました。この日、のちに初代マネージャーとなる事務所キューブのスタッフが見に来ていたことが、世に出るきっかけになりました。

8月25日には、インディーズのアルバム『誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました…』を発売します。2004年にキューブに所属し、レコード会社が集まるショーケースライブでエピックレコードの目にとまって、メジャーデビューが決まりました。このとき手を挙げたのは、エピックレコードだけだったそうです。デビュー前の2005年3月26日には、厚木市文化会館の小ホールで初めてのホールワンマンライブも開いています。

「SAKURA」でのデビューと初めての紅白

2006年3月15日、いきものがかりはシングル「SAKURA」でメジャーデビューしました。5月の「HANABI」はオリコンチャートで初登場5位に入り、初めてトップ10に届きます。秋には初の全国ツアー「いきものがかりのみなさん、こんにつあー!! 2006」をまわりました。

2007年3月に1stアルバム『桜咲く街物語』を発売し、日本ゴールドディスク大賞のザ・ベスト10・ニューアーティストに選ばれます。2008年には、吉岡さんが初めて作詞に参加したアルバム『ライフアルバム』が初のトップ3入り、シングル「ブルーバード」がシングルで初めてのトップ3入りを果たしました。

そして2008年12月24日発売の3rdアルバム『My song Your song』で、初めてオリコンチャート1位を獲得します。1週間後の12月31日には、第59回NHK紅白歌合戦に初出場しました。紅白にはここから9年連続で出場していきます。アルバムも、この『My song Your song』から2014年の『FUN! FUN! FANFARE!』まで、7作続けて初登場1位を記録しました。

「YELL」と「ありがとう」で広がった世代

2009年、いきものがかりはNHK全国学校音楽コンクール中学生の部の課題曲「YELL」を手がけました。9月に発売したシングル「YELL/じょいふる」はオリコンデイリーチャートで1位、週間チャートでは2位と、シングルの自己最高位を記録します。「YELL」は日本レコード大賞の優秀作品賞と日本有線大賞の有線音楽優秀賞にも選ばれ、12月には4thアルバム『ハジマリノウタ』を発売しました。

2010年には、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の主題歌「ありがとう」が大ヒットしました。朝ドラの人気とともに、若い人だけでなく中高年の人たちにも名前が知られるようになります。シングル「ありがとう」は、売り上げで自己最高を記録しました。この年は、初の日本武道館公演をふくむ全47都道府県ツアーも開いています。

11月3日に発売した初のベストアルバム『いきものばかり〜メンバーズBESTセレクション〜』は、発売から2か月で100万枚を超え、初めてのミリオンセラーになりました。第52回日本レコード大賞では、アルバム『ハジマリノウタ』が最優秀アルバム賞を受けています。

スタジアムのステージと放牧から集牧へ

2011年7月には、初の野外スタジアム公演「いきものまつり2011」を横浜スタジアムで開きました。2012年の第63回紅白歌合戦では、初めて紅組のトリを任され、「風が吹いている」を歌っています。「笑ってたいんだ」「風が吹いている」「笑顔」「熱情のスペクトラム」など、日本レコード大賞の優秀作品賞にも毎年のように選ばれました。

メジャーデビュー10周年の2016年には、地元の海老名市と厚木市で野外スタジアム公演『超いきものまつり2016 地元でSHOW!!』を4公演開催します。インディーズ時代を過ごした街で、大きな節目を祝いました。オリコンの「好きなアーティストランキング」では、2010年から4年連続で総合2位に入り、2016年にも再び2位になっています。2012年にオリスタが調べた「好きなバンドRANKING2012」では、1位に選ばれました。

10周年を走りきったあと、2017年1月5日にグループとしての活動休止を発表します。メンバーはこれを「放牧」と呼び、いきものがかりは帰ってくる場所だと伝えました。休止中、水野さんは多くのアーティストに曲を提供し、吉岡さんはカバーアルバムを出しています。そして2018年11月3日の結成記念日に、「集牧」として活動を再開しました。

2人のいきものがかりが届けるいまの音

現在のいきものがかりは、吉岡聖恵さんと水野良樹さんの2人で活動しています。2023年には、映画『銀河鉄道の父』の主題歌「STAR」と、『プリキュアシリーズ』放送20周年の記念曲「ときめき」を書き下ろしました。

2024年2月には、さまざまなアーティストにいきものがかりの曲を自由に作り変えてもらうアルバム『いきものがかりmeets』を発売し、玉置浩二さんやスキマスイッチ、SUPER BEAVER、幾田りらさんらが参加し、2026年3月11日には第2弾も出ています。2026年1月1日には、代表曲「ありがとう」を新しくした「超ありがとう」を配信しました。編曲は「ありがとう」と同じ本間昭光さんです。

20周年のフェスについて、水野さんは「自分たちだけでライブをやってると気づかない手法とか輝き方とか、そういうものを目の前で見せてもらったことは、たぶん今後20年の活動をしていく上で、とてつもない経験になるのかなって思います」と振り返っています。47都道府県ツアーは2027年にかけて続き、結成記念日の11月3日には札幌文化芸術劇場 hitaruでの公演も組まれています。

いきものがかりが歌でつないでいきたいもの

いきものがかりの曲は、すべてメンバーが作っています。シングルの多くは水野さんが作詞・作曲し、吉岡さんも3rdアルバム『My song Your song』からは、自分で作詞・作曲した曲をアルバムに入れることが恒例になりました。初めて作詞した曲は、2ndアルバムの「ちこくしちゃうよ」と「月とあたしと冷蔵庫」です。メジャーデビュー後のシングルA面曲には、すべてドラマや映画、CMなどのタイアップがついています。

シングルのカップリングには「卒業写真」「木綿のハンカチーフ」など、3人が影響を受けた1970年代・80年代のヒット曲のカバーを入れてきました。過去の名曲を下の世代へ伝えることに意味があると考えてのことです。同世代や下の世代だけでなく、上の世代にも聴いてもらうことを目標にしていると語ってきました。B’zの松本孝弘さんも、歌詞と曲のバランスやメロディを高く評価しています。

2010年からは、小田急線の海老名駅で「SAKURA」が、本厚木駅で「YELL」が電車の接近メロディとして流れています。地元への恩返しとして、グループから提案し無償で提供したものです。路上で歌っていた駅に、いまも2人の曲が鳴っています。

Follow me!

コメント

error: Content is protected !!
トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました