
2025年秋から半年間、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』のヒロイン・松野トキとして毎朝テレビに登場した高石あかりさん。2026年にはエランドール賞を受け、ザテレビジョンドラマアカデミー賞では主演女優賞にも選ばれました。いまや同世代を代表する俳優のひとりですが、芸能界の入り口はダンスと歌でした。俳優として本格的に歩き出すと発表したのは2019年のこと。そこから5年あまりで朝ドラの主演をつかむまでの道のりを、作品名と役名を追いながらたどっていきます。
宮崎生まれの高石あかりさん 最初の夢はダンスと歌のステージ
高石あかりさんは2002年12月19日、宮崎県宮崎市で生まれました。所属はエイベックス・マネジメント・エージェンシーです。名字の正式な表記は「はしごだか」の髙で、作品のクレジットでは髙石あかりと書かれています。
芸能界に入るきっかけは、2014年にエイベックスが開いたキッズコンテスト「キラットエンタメチャレンジコンテスト2014」でした。ここでナルミヤオンライン賞を受け、2016年には「ミスiD2016」でセミファイナリストに残ります。ただ、最初から俳優ひと筋だったわけではありません。幅広く活動したいという思いから、自分でオーディションに申し込み、メジャーデビューを目指すダンスボーカルユニット「α-X’s(アクロス)」に加わりました。2016年4月から2018年3月まで、育成ユニットのメンバーとして歌とダンスに打ち込んでいます。
オーディションを受けるなかで見たAAAのライブに強い衝撃を受け、自分もあんなステージに立ちたいと思ったと語っています。尊敬する人として挙げるのはAAAの西島隆弘さん。レッスンを受けていたころからよく通っていた原宿は、いまも思い入れのある街だそうです。
舞台で積んだ経験と鬼滅の刃の禰豆子役
2016年からは「あかり」の名前で舞台にも立ち始めます。『人魚外伝〜Anecdote of Mermaid〜』『ハンドシェイカー』『スリーアウト! 〜ホームラン篇〜』など、都内の劇場での公演に次々と出演しました。2017年には映画『島々清しゃ』にゆかり役で出ています。
2018年にユニットを卒業し、2019年4月には俳優として本格的に活動することを発表しました。名前も髙石あかりに改め、同じ年には『おそ松さん on STAGE 〜SIX MEN’S SHOW TIME 3〜』で橋本にゃー役を務めています。
大きな転機になったのが、2020年1月に上演された舞台『鬼滅の刃』です。高石さんは竈門禰豆子役を初代として演じ、2021年の『其ノ弐 絆』にも続けて出演しました。2021年の時点で、人生でいちばんうれしかったことを聞かれて、この禰豆子役に選ばれたことを挙げています。ほかにも『Fate/Grand Order THE STAGE -冠位時間神殿ソロモン-』の藤丸立香役、『地縛少年花子くん-The Musical-』のヒロイン・八尋寧々役と、人気作の舞台で大切な役が続きました。
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高石あかりさんの名前を広めたベイビーわるきゅーれ
映像の世界で高石あかりさんの名前を一気に広めたのが、阪元裕吾監督の映画『ベイビーわるきゅーれ』です。2021年7月30日公開のこの作品で、映画初主演を果たしました。演じたのは、殺し屋の女の子・杉本ちさと。伊澤彩織さんとのダブル主演で、ゆるい日常の会話と本格的なアクションの落差が評判を呼びました。
作品はシリーズになり、2023年に『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』、2024年に『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』が公開されます。2024年にはテレビ東京でドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』も放送されました。ふだんは実写よりアニメをよく観るほどのアニメ好きで、ちさとの役作りもアニメっぽさを意識したと話しています。
2023年は出演作が一気に増えた年でもあります。東宝の映画『わたしの幸せな結婚』では斎森香耶役、NHKのドラマ『わたしの一番最悪なともだち』では鍵谷美晴役を演じました。MBSのドラマ『墜落JKと廃人教師』ではヒロインの落合扇言役を務め、2024年には続編にも出演しています。『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』『わたしの幸せな結婚』『Single8』などの演技が認められ、第15回TAMA映画賞の最優秀新進女優賞を受けています。
2892人の中から選ばれたばけばけのヒロイン
2024年は声の仕事にも挑みました。劇場アニメ『きみの色』では、主人公の作永きみの声を担当しています。2月には1st写真集『幻灯』を出し、11月公開の『スマホを落としただけなのに 〜最終章〜 ファイナル ハッキング ゲーム』では瀬戸千春役、12月公開の映画『私にふさわしいホテル』では東十条美和子役を演じています。Netflixの映画『パレード』にも靖子役で出演しました。
そして2024年10月29日、2025年度後期の連続テレビ小説『ばけばけ』のヒロインに決まったことが発表されます。オーディションの応募者は2892人。役は、小泉八雲の妻・セツをモデルにした松野トキです。発表にあたって高石さんは「小さいころから朝ドラヒロインになるのが夢で」とコメントし、子どものころからの夢がかなった喜びを伝えました。
トキは、上級士族の家に生まれた、怪談が好きな少し変わった女の子です。父の事業の失敗で貧しい暮らしになるなかで、松江にやってきた外国人の英語教師の家で住み込みの女中として働くことになり、少しずつ心を通わせていきます。幼いころから憧れてきた女優として井上真央さんの名前を挙げている高石さんにとって、ずっと思い描いてきた場所にたどり着いた瞬間でした。
朝ドラ放送までの2025年 主演と話題作が続いた日々
『ばけばけ』の放送が始まる前の2025年も、出演作が途切れることはありませんでした。1月からはTBSのドラマ『御上先生』で千木良遥役、2月からはMBSのドラマ『アポロの歌』で佐藤勝利さんとダブル主演を務め、渡ひろみ役を演じています。4月には主演映画『ゴーストキラー』で松岡ふみか役、7月には映画『夏の砂の上』で優子役。この作品で共演した松たか子さんから大きな刺激を受けたと語り、尊敬する女優として名前を挙げています。
同じ7月にはNetflixのドラマ『グラスハート』に櫻井ユキノ役で出演しました。2月にはエンタメ情報サイト「デビュー」の『2025年ネクストブレイクランキング』で女性俳優部門の1位に選ばれ、FILMARKS AWARDS 2025では『御上先生』『グラスハート』で俳優Fan!賞を受けています。
そして9月29日、『ばけばけ』の放送がスタートします。2026年3月27日まで半年にわたって松野トキを演じ切りました。放送期間中の2025年12月31日には、第76回NHK紅白歌合戦のゲスト審査員も務めています。
いまの高石あかりさん 受賞とアンバサダーの2026年
2026年に入ると、朝ドラでの演技が次々と形になって表れます。1月14日には日本映画テレビプロデューサー協会が2026年エランドール賞の受賞者を公表し、高石あかりさんの名前が並びました。さらに第127回ザテレビジョンドラマアカデミー賞では、『ばけばけ』で主演女優賞に選ばれています。
放送が終わったあとの3月30日からは、NHK総合で『ばけばけ』のスピンオフドラマも放送されました。映画では2月6日公開の『禍禍女』に寺本唯役で出演しています。
広告の仕事も広がっています。これまでにもサンリオやJACCS、MIYASHITA PARKなどの広告に出てきましたが、4月からはランコムのジャパンアンバサダーを務め、日本マクドナルドのCMでは「ひるまック」で妻夫木聡さんと、2026年10月から始まった「390ペア」で岡田准一さんと共演しました。朝ドラのヒロインとして知られた顔が、いまは街のあちこちで見られるようになっています。2026年10月1日にLeminoで配信が始まった、山田孝之さんがメインパートナーを務める俳優オーディション番組『THE OPEN CALL』にも、ゲストパートナーとして出演しています。
編み物と靴下集め マイペースで集中型の素顔
仕事を離れた高石あかりさんは、編み物が大好きです。休みの日は一日中編み物をしていることもあるそうです。靴下も好きで、いろいろな種類を集めています。ふるさととのつながりも大切にしていて、2022年にテレビ宮崎のドラマ『ひまわりっ 〜宮崎レジェンド2〜』で日高なのは(節子)役を演じたときは、小学校の同級生でシンガーソングライターのみゆなさんが主題歌を担当しました。2人は撮影中に再会したそうです。
アニメの話になると止まりません。親友もアニメ好きで、会うと2人でずっとアニメの話をしていると明かしています。好きな食べ物はワタリガニのトマトクリームパスタで、苦手なのはパクチーだそうです。
集中すると周りが見えなくなるタイプで、1000ピースのジグソーパズルを、完成図を見ないまま4日かけて仕上げたことがあります。俳優の道に進んでいなければ保育士を目指していたとも話しています。画面の中の鋭い役柄とはまた違う、穏やかで根気強い一面がうかがえます。
カメレオンのような俳優へ これからの高石あかりさん
高石あかりさんが目指しているのは、カメレオンのような女優です。演じてみたい役として、信じられないくらいダークな役や、サイコパスな役を挙げています。殺し屋から朝ドラのヒロインまで演じてきた幅を思うと、その言葉にも説得力があります。
次の作品もすでに動き出しています。2026年5月16日には、宮崎県新富町で撮影された主演の短編映画が発表されました。朝ドラのあと初めての作品で、脚本と監督は映画『熱のあとに』の山本英さん。2027年秋ごろのイベントで上映される予定です。
さらに2027年春には、羊文学の楽曲「夜を越えて」から生まれた小説を原案にした映画『サタデー・ナイト・シアター』が公開予定です。坂東龍汰さんとのダブル主演で、高石さんは山中ツグミ役を演じます。2026年10月17日には羊文学「夜を越えて」のミュージックビデオにも出演しました。2026年12月18日には2nd写真集『melt』も発売される予定で、ふるさと宮崎から始まった歩みは、まだまだ広がっていきそうです。
写真: m-louis .® / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commonsより)


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