
2026年秋の金曜夜9時に登場した高杉真宙さん
2026年10月16日に始まったテレビ東京のドラマ9『ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班』。堂場瞬一さんの警察小説シリーズが原作で、主演は沢村一樹さんです。この作品で、独自の観察力で事件の突破口を見つけ出す「特別な眼」を持つ元捜査一課の刑事・八神佑を演じたのが高杉真宙さんです。
2025年から2026年にかけてをふり返るだけでも、高杉さんの名前はあちこちに並びます。映画『盤上の向日葵』、TBSの『ザ・ロイヤルファミリー』、主演映画『架空の犬と嘘をつく猫』、WOWOWの『BLOOD & SWEAT』、フジテレビの『今夜、秘密のキッチンで』。さらにアニメを語るテレビ東京の番組『ピッカルチャー』では2026年4月からMCも務めています。2025年の夏には『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』で常盤拓を演じ、テレビ東京の『法廷のドラゴン』では歩田虎太郎として連続ドラマを支えました。主演作と脇を固める役、その両方で呼ばれ続けているのが2026年の高杉さんです。
そんな高杉さんの出発点は、九州で行われた花火大会でした。小学6年生の花火大会から、2026年の刑事ドラマで主要キャストに名を連ねるまでを、作品と役名をたどりながら見ていきます。
福岡で育った高杉真宙さんと花火大会の夜
高杉真宙さんは1996年7月4日、福岡県で生まれました。芸能界に入るきっかけは、小学6年生のときに熊本県の八代で行われた花火大会です。そこで女の子に間違われてスカウトされたことが縁となり、事務所に所属しました。
子どものころの高杉さんは、漫画やアニメが大好きで、ゲームにも夢中になる少年でした。子どもが好きで、幼稚園の先生になりたいと思っていたこともあるそうです。俳優を目指して一直線に進んできたというより、思いがけない出会いから道が開けたタイプの人と言えます。福岡で生まれ、熊本の花火大会で見いだされ、やがて東京へ。のちの作品歴を見ると、この九州での数年間が、すべての始まりだったことがよく分かります。
人前に出る仕事でありながら、本人は人見知りな性格として知られています。のちに出演する特撮ドラマの現場でも、同じく人見知りだった共演者と、撮影が始まってから2か月ほど会話ができなかったという話が伝わっています。そんな控えめな少年が、ここから10代のうちに次々と作品に出会っていきます。
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舞台で始まり中学2年で上京するまで
俳優としての初舞台は2009年、舞台『エブリ リトル シング’09』です。翌2010年には映画『半次郎』で市来新之助を演じ、映画に初出演しました。同じ年にはネクソン「メイプルストーリー」のCMにも登場しています。
中学2年生で上京してからは、仕事の幅が少しずつ広がっていきます。2010年には舞台『嗚呼、田原坂』『つばき、時跳び』『ジャンヌ・ダルク』と出演が続き、テレビでは『特上カバチ!!』や、向井理さん演じる主人公の幼少期を演じた『5年後のラブレター』にも出ています。
そして2012年、映画『カルテット!〜Quartet!〜』で永江開を演じ、映画初主演を果たしました。同じ年には大河ドラマ『平清盛』で小兎丸、WOWOWの連続ドラマW『學』で風間學、テレビ朝日の『13歳のハローワーク』で岡島正人、フジテレビの『高校入試』で松島良隆と、10代半ばにして大河、連ドラ、映画を行き来する日々を送っていました。2012年には舞台『里見八犬伝』で房八も演じていて、舞台、映像の両方で経験を積んだ時期でもあります。主演の立場を早くに経験しながら、大きな作品では脇の役で現場を学ぶ。この行き来が、のちの幅の広さにつながっていきます。
仮面ライダー鎧武で見せた二つの顔
高杉真宙さんの名前を広く知らせたのが、2013年10月から1年間放送された特撮ドラマ『仮面ライダー鎧武/ガイム』です。高杉さんが演じたのは呉島光実、そして仮面ライダー龍玄です。
光実は、物語が進むにつれて心の内に別の顔をのぞかせていく、二面性をもった難しい役でした。この複雑な役どころを演じきったことで、スタッフからも演技力を評価されています。劇場版や、外伝のオリジナルビデオ『仮面ライダー斬月』『仮面ライダーナックル』にも出演し、長くこの役と付き合いました。
ライダーの撮影と並行して、映画の世界でも結果が出はじめます。2014年に主演した映画『ぼんとリンちゃん』で友田麟太郎(通称リンちゃん)を演じ、第36回ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を受賞しました。特撮で多くの子どもたちに知られ、映画で演技を認められる。この2つが重なったことが、高杉さんにとって大きな足場になりました。同じ2014年には映画『渇き。』で松永泰博を演じ、舞台『里見八犬伝』では犬江親兵衛を務めています。翌2015年にはフジテレビの『ゴーストライター』で遠野大樹、TBSの『表参道高校合唱部!』で宮崎祐を演じ、東海テレビの『明日もきっと、おいしいご飯〜銀のスプーン〜』では主演の早川律を務めました。
新人賞を重ねた2017年の高杉真宙さん
20歳を過ぎたころの高杉さんは、主演作と話題作を絶えず重ねていきます。2017年は特に出演が多い年でした。主演映画『逆光の頃』で赤田孝豊、『PとJK』で大神平助、『ReLIFE リライフ』で大神和臣、『トリガール!』で高橋圭、そして『散歩する侵略者』で天野を演じています。
この年の仕事は形になって評価されました。『散歩する侵略者』で第72回毎日映画コンクールのスポニチグランプリ新人賞を受賞。さらに『散歩する侵略者』『逆光の頃』『想影』『トリガール!』『ReLIFE リライフ』『PとJK』の6作品で、第9回TAMA映画賞の最優秀新進男優賞にも選ばれました。
テレビでは同じ年、テレビ東京の『セトウツミ』で主演の内海想を務めています。2018年からはドラマ『賭ケグルイ』の鈴井涼太役で人気を集め、のちに映画版にも出演しました。主演映画『笑顔の向こうに』は、第16回モナコ国際映画祭でエンジェルピースアワード(最優秀作品賞)に輝いています。2018年には主演映画『虹色デイズ』で直江剛、『ギャングース』でサイケを演じ、2020年には主演映画『前田建設ファンタジー営業部』で土井航を務めました。フジテレビの『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』では篠田浩輝として、刑事ドラマの現場も経験しています。
独立してから大河ドラマ『光る君へ』まで
2021年4月、高杉真宙さんは長く所属した事務所を離れ、個人事務所「株式会社POSTERS」を設立しました。ここから、作品の幅がさらに広がっていきます。2022年には映画『ナニワ金融道』シリーズ3作で主演の灰原達之を演じ、映画『異動辞令は音楽隊!』では北村裕司を務めました。
2022年にはバラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』の「グルメチキンレース・ゴチになります!23」に新メンバーとして加わり、バラエティ番組に初めてレギュラー出演しました。同じ年の秋には、月9ドラマ『PICU 小児集中治療室』で矢野悠太を演じ、連続テレビ小説『舞いあがれ!』にも刈谷博文役で出演しています。
その後も、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』の松野千冬、Disney+の『ガンニバル』の寺山京介、日本テレビの『となりのナースエイド』の竜崎大河と、色の違う役が続きます。2024年には大河ドラマ『光る君へ』で藤原惟規(太郎)を第2回から第39回まで演じました。舞台では2023年に『ロミオとジュリエット』でロミオを務めるなど、声の仕事を含めて活躍の場を広げています。
アニメとゲームを愛する高杉真宙さんの素顔
仕事を離れた高杉真宙さんを語るうえで欠かせないのが、漫画とアニメ、そしてゲームです。本人がゲーマーであることは広く知られていて、2026年4月からはアニメのさまざまな魅力に光を当てるテレビ東京の『ピッカルチャー』でMCを務めています。好きなものが、そのまま仕事につながっている形です。
アニメの世界には、声の出演でも関わってきました。劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』では主人公の「僕」を、テレビアニメ『オッドタクシー』では長嶋聡を、『RE-MAIN』では福井晃久を演じています。NHK Eテレの『にほんごであそぼ』では朗読のコーナーにも登場しています。2025年にはBS朝日のアニメ『野原ひろし 昼メシの流儀』で高桐あきたけの声を担当し、NHK-FMのオーディオドラマ『おやすみ、サマークエスト』では主演の海野泰水を演じました。顔を出さない声の仕事にも、幅広く取り組んでいます。
笑顔の印象も強い人です。2024年にはベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2024を受賞しました。人見知りで静かな面と、画面のなかで見せる柔らかい笑顔。その両方があるところが、幅広い世代に親しまれている理由のひとつでしょう。
ボーダーズの先に待つ高杉真宙さんの作品
『ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班』で演じる八神佑は、観察する目で事件に切り込む刑事です。子どもの役から始まり、二面性のある少年、捜査官、病院や法廷を舞台にした作品の人物と役を重ねてきた高杉真宙さんが、ここでどんな刑事像を見せるのかに注目が集まりました。同じ2026年10月には、映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』も公開され、高杉さんは遠藤将一を演じています。2026年の秋は、テレビと映画館の両方で高杉さんに会える季節になりました。
2026年10月の時点で、この先の予定もぎっしりです。2026年11月にはNetflixの『トークサバイバー!DEAD or LAUGH』への出演が予定されています。2027年1月には劇場版「虎に翼」で長谷部勇吉を、同じ月に公開予定の映画『カイジ 人生リベンジゲーム』で真下圭太を演じます。2027年3月にはシアタークリエの舞台『リラティブリー・スピーキング 〜この人、わたしのお父さん〜』で主演のグレッグを務める予定です。
花火大会で声をかけられた少年は、いまやドラマ、映画、舞台、アニメのすべてで名前を見る俳優になりました。次はどんな顔を見せてくれるのか。これからの作品を追いかけていきたい人です。
写真: nakashi / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commonsより)


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