イモトアヤコさん、珍獣ハンターから連ドラ初主演へ 鳥取からマナスル登頂までの歩み

珍獣ハンターが連続ドラマの主演に立った2026年秋

太い眉にセーラー服。世界の秘境で動物を追いかける「珍獣ハンター」として知られるイモトアヤコさんが、2026年10月、連続ドラマで初めて主演を務めました。東海テレビ・フジテレビ系の土ドラ『再生のウズメ』です。演じたのは、ひきこもり歴12年の元子役・田村ウズメ。お笑いの印象が強いイモトさんにとって、新しい扉を開く役になりました。

同じ10月には、TBSの火曜ドラマ『いろはの恋は時代をかける』にも出演しています。バラエティの顔と俳優の顔を、同じ季節に見せたことになります。

けれど、イモトさんの道のりは最初から芸能界まっすぐではありませんでした。鳥取で育った運動部のキャプテンは、大学ではテレビの裏方、ディレクターを目指していた学生でした。そこからどうやって世界の山の頂上に立ち、ドラマの主役にまでたどり着いたのか。順番に見ていきます。

鳥取の運動部キャプテン イモトアヤコさんの子ども時代

イモトアヤコさんは1986年1月12日、鳥取県西伯郡岸本町(現在の伯耆町岸本)で生まれました。父は公務員、母は保育士。二人姉妹の長女です。

子どものころの夢は、NHK『おかあさんといっしょ』のうたのおねえさんでした。ミニ四駆の車体改造に夢中になる一面もあったそうです。

運動は得意で、小学校ではバレーボール部のキャプテンを務めました。中学では陸上部に入り、米子市の皆生の海まで自転車で通って、砂浜でもも上げダッシュをくり返しました。中学3年だった2000年には、鳥取県の陸上競技大会の100メートル競走で6位に入っています。生徒会の副会長も務めました。

鳥取県立米子西高等学校ではハンドボール部のキャプテンに。本人によれば、先生から指名されて引き受けたのだそうです。3年生だった2003年には、学校祭のミスコンテストでグランプリを獲得。劇の主演女優賞やエンターテイナー賞も受け、氣志團のものまねで同性の支持を集めました。人前で笑いをとる力は、このころから光っていました。

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テレビの裏方を目指した大学生が芸人の道へ

2004年、イモトさんは文教大学情報学部広報学科に進みました。映像関係のゼミに入り、番組制作の実習に取り組みます。目標はディレクターでした。実際にADのアルバイトも経験しています。

そのアルバイトで、モーニング娘。の辻希美さんのための企画で食べ物を探しに行かされるなど、雑用をこなしたことがあるそうです。じつはイモトさんは中学生だった1999年、モーニング娘。の第2回追加オーディションに応募し、書類審査で落ちていました。あこがれた場所にいるアイドルと、裏方の自分。その差を思い知らされたことで、芸能界への思いはかえって強くなったといいます。

大学2年のとき、イモトさんはワタナベコメディスクールに3期生として入学します。1期上の先輩バービーさん、同期の東京ウタカルタさんとトリオ「東京ホルモン娘」を組んだ時期もありました。東京ウタカルタさんが抜けたあとはバービーさんとのコンビになり、2006年のM-1グランプリに出場しています。

芸名は、本名を片仮名にしたもの。理由は「分かりやすさ」だそうです。

太眉とセーラー服 イモトアヤコさんがつかんだ珍獣ハンター

転機は2007年に訪れます。日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』の珍獣ハンターのオーディションに合格し、レギュラーパーソナリティーになりました。大学に通いながらの大抜てきです。

イモトさんのキャラクターは、自称「田舎の女子高生」。母校・米子西高校のセーラー服をもとにした制服を着て、方言を使った一人コントを見せます。ちょうど柳原可奈子さんのギャルキャラのコントが人気だったころで、その逆を行こうと田舎者のキャラクターに決めたのだそうです。

トレードマークの太い眉は、アイブロウペンシルで描いています。田舎っぽさを出す方法をいろいろ考え、眉を太くしてみたらしっくりきたのがきっかけでした。強い動物と対決するロケでは、さらに太く描くといいます。

番組では、コモドドラゴンに追いかけられる姿が全国に流れ、一気に注目を集めました。2008年に大学を卒業。そのころは1年の半分以上を海外で過ごし、自分のことを「日本一家賃を無駄にしている女」と呼んでいました。

2007年9月18日放送のフジテレビ『ハモネプリーグ』には、文教大学のグループ「高木ブーとキャンプ」の一員として出場しました。結果はCブロックの最低点で敗退でしたが、会場の笑いをいちばんとったステージだったそうです。イモトさんのキャラクターは、このころすでにできあがっていました。

126キロの完走からマナスルの頂上まで

2009年、イモトさんは『24時間テレビ32』のチャリティーマラソンランナーに選ばれました。8月30日21時12分、126.585キロを走りきっています。

同じ2009年5月には、『イッテQ!』の企画でアフリカのキリマンジャロ(標高5895メートル)に登頂しました。ここから世界の山への挑戦が続いていきます。2010年8月にはアルプスのモンブラン、2012年9月にはマッターホルンに登りました。2012年1月の南米アコンカグアでは、標高6890メートル地点で国際山岳ガイドの角谷道弘さんの判断により下山しています。

大きな節目は2013年10月2日です。世界8位の高峰、標高8163メートルのマナスルの登頂に成功しました。その前には剱岳や八ヶ岳の氷壁、槍ヶ岳、富士山の一合目からの登山など、国内で何度も訓練を重ねています。

その後も2015年6月に北米のデナリ、2016年8月にアイガー、2017年12月に南極のヴィンソン・マシフへ。2025年3月には、冬のブライトホルン(標高4164メートル)に2回目の登頂を果たしました。芸人のロケという枠をこえて、登山家と呼びたくなる記録が並んでいます。

スポーツとの縁は山だけではありません。2009年と2013年には、グラチャンバレーの応援スペシャルサポーターを務めました。小学校のバレーボール部でキャプテンだったイモトさんにとって、うれしい役目だったはずです。

家売るオンナで見せた女優の顔

お笑いと並んで、イモトさんは女優としても歩みを重ねてきました。デビューは2010年11月、TBSのドラマ『99年の愛〜JAPANESE AMERICANS〜』で、平松ともの若いころを演じています。

2011年には日本テレビ『生きてるだけでなんくるないさ』で矢島春奈役、2013年にはNHK総合『ご縁ハンター』で井上千帆役を演じました。2014年の日本テレビ『最高のおもてなし』では主演の鈴木ちえ役を務めています。同じ2014年には、竹内結子さんと舞台『君となら〜Nobody Else But You』で共演しました。

女優としての存在感を広く知らせたのが、2016年夏の日本テレビ『家売るオンナ』です。新人営業マンの白州美加役で、トレードマークの太眉を封じて出演しました。2017年のスペシャル版『帰ってきた家売るオンナ』、2019年の続編『家売るオンナの逆襲』でも、眉を消して白州美加を演じています。共演した北川景子さんとはプライベートでも仲が良く、イモトさんのインスタグラムにたびたび登場しています。

声の仕事でも評価を得ました。2016年9月放送のNHK-FMのFMシアター『ほかの誰でもないアヤコ』で花島アヤコ役を演じ、この作品は平成28年度文化庁芸術祭の優秀賞に選ばれています。

カメラと自転車と本 イモトアヤコさんの素顔

イモトさんには写真家の顔もあります。海外のロケ先では、いつもたくさんの写真を撮ってくるそうです。尊敬するのは、同じ鳥取県出身の写真家・植田正治さん。2014年10月から11月には、植田正治写真美術館で写真展「地球の絶景珍景写真展」が開かれ、世界各地で撮った風景や現地の人々の姿など50点が並びました。

趣味は自転車です。ピナレロのロードバイクやブロンプトンの折りたたみ自転車など数台を持ち、しまなみ海道を走ったこともあります。事務所の後輩・中村涼子さんに漫画『山と食欲と私』をすすめられたのをきっかけに、キャンプにも興味を持ちました。

読書も好きで、池波正太郎さん、白洲正子さん、松浦弥太郎さん、林真理子さん、西加奈子さんの作品を挙げています。漫画は『キングダム』。飛行機での長い移動によく持ちこんで読むそうです。ドラマを見るのも好きで、いちばん好きな脚本家は坂元裕二さんです。

小学生のころからのあこがれは安室奈美恵さん。2018年7月29日の『イッテQ!』で対面が実現し、うれしさのあまり大泣きしました。ヘビが大の苦手なのに、ムカデは素手でさわれてしまう。そんな意外さも、イモトさんらしさです。

再生のウズメに込めた新しい一歩 イモトアヤコさんのこれから

2026年10月3日に始まった『再生のウズメ』は、天堂きりんさんの同じ名前の漫画が原作です。イモトさんが演じる田村ウズメは40歳の元子役。小学4年生の学芸会で主役を演じ、役者の仕事に興味を持った人物です。白洲迅さんは、ウズメの人生を大きく動かす便利屋「救ちゃん」の代表・興梠侑誠を演じています。共演には市毛良枝さん、菅原大吉さんらが並び、主題歌はレトロリロンの書き下ろし曲「Dear」です。

10月13日に始まったTBSの火曜ドラマ『いろはの恋は時代をかける』では、上白石萌音さんが主演を務め、イモトさんは中村涼子という役で出演しました。仲の良い後輩と同じ名前の役で、最初に話をもらったときはびっくりしたそうです。

『イッテQ!』のレギュラーは2007年から続き、2016年に始まったTBSラジオ『イモトアヤコのすっぴんしゃん』でもパーソナリティーを務めています。2025年には『24時間テレビ48』のスペシャルサポーターも務めました。2021年から2023年にかけては、NHK Eテレ『テレビで中国語』『中国語!ナビ』に生徒として出演し、新しい言葉にも挑戦しています。2013年に始まったCM「イモトのWiFi」で、イモトさんの顔を思いうかべる人も多いはずです。

テレビの裏方を目指した大学生が、世界の頂に立ち、ドラマの主役を演じるまでになりました。笑いと挑戦と演技。その三つを行き来するイモトさんが次にどんな景色を見せてくれるのか、楽しみに待ちたいところです。

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